<巨人3-2ヤクルト>◇17日◇東京ドーム
巨人の新守護神・東野峻投手(25)が、プロ初セーブで試合を締めた。1点リードの9回に登板。打者3人をパーフェクトに抑えた。今季は開幕投手を任されたが、守護神不在のチーム事情から10日の広島戦から守護神に配置転換された。原監督が低迷するチームの救世主に指名した右腕を中心に勝利の方程式が確立。奇跡の逆転Vへのシナリオが完成した。
思いは同じだった。試合を締めた東野は、いつも通りに原監督と勝利のハイタッチでベンチに引き揚げた。「(小野)淳平に勝ちがついて良かった」。1点差での記念すべきプロ初セーブだったが、2人の間に特別な感情はなかった。「本人はそうしびれてない。キャリアを持っていますから」(原監督)。ハイタッチの数こそが浮上への鐘。2人にとって、初セーブは逆襲へのスタートにすぎなかった。
原点に立ち返った魂の17球だった。座右の銘は「弱肉強食」。1球1球、ちぎれんばかりに腕を振り、打者を食った。最後の打者、田中はウイニングショットのスライダーで見逃し三振。外角の変化球にも腰が引けていたのは、闘争心むき出しで腕を振っていた証しだった。打者3人をパーフェクト。「東野コール」で見守るファンにこたえた。
ふがいない自分を救ってくれたのは、原監督だった。9日広島戦の練習前、2軍落ちを覚悟した男に待っていたのは「抑えをやってくれ」という言葉。開幕投手を任されながら2勝。どん底にもかかわらず、チームの救世主に指名された。「やるしかない、それだけです」。守護神への挑戦は背水の覚悟だった。
抑えとしてのデビュー戦は散々だった。13日阪神戦でサヨナラ負け。沈む東野を指揮官は見捨てなかった。翌日、監督室に呼び「直球の勢いは戻ってきた。250セーブを目指すようなクローザーになれ」。この日も力強く背中をたたいて9回のマウンドへ送り、変わらぬ信頼感を示した。
守護神の抜てきは、チーム浮上の鍵を握る。02年は河原(中日)、07年には上原(オリオールズ)を先発から抑えに配置転換。リーグ制覇の原動力になった。首位ヤクルトとの3連戦に勝ち越しを決め、原監督は「彼(東野)がしっかりいてくれると、強い投手陣になる」と新勝利の方程式での逃げ切りに手応え。背番号17の新守護神が、チーム浮上のシンボルになる。【久保賢吾】



