<巨人2-1中日>◇19日◇ハードオフ新潟

 サード井端!

 中日井端弘和内野手(36)がプロ入り後初となる三塁でスタメン出場した。14年目の名手は驚きの起用に応える形で5回に好捕。バットでは7回に唯一となる得点をたたき出した。試合には敗れて首位ヤクルトとは今季最大の7・5ゲーム差。だが、落合竜は逆襲の準備を着々と進めている。

 慣れないアナウンスが新潟の空に響いた。「7番サード井端」-。井端がプロ14年目で初めて三塁手として先発した。過去、試合途中にシート変更で三塁を守ったことは4度あり、うち1度は偵察要員絡みで実質的に先発だった。だが、スタメン表に三塁手として名を連ねたのは今回が初めて。まさかのサプライズ起用だった。

 「(三塁守備は)怖い。打つところが見えない。こればっかりは練習していくしかない」

 試合後のそんな言葉もうそのように井端は円熟のプレーを連発した。5回1死から1番坂本の三塁線を破ろうかという打球をダイブして好捕。すぐさま体勢を立て直し一塁に矢のような送球を投げ込んだ。7回には2死一、二塁から右前に落とすタイムリー。チーム唯一となる1点をもぎ取った。

 落合船長の“大型修繕”第2弾だ。ここ数日、チームの状況を航海船にたとえている落合監督は、18日に小池をプロ初の1番で起用し打線を活性化。連敗を「6」で止めた。この日は荒木を1番に戻し、小池も6番へ。井端の三塁起用により荒木、岩崎達も含めた守備に定評ある3人の内野手共存が可能となった。

 「1日でドック入りしちゃったな」

 ベンチ裏から出てきた落合監督は笑いながらそう話した。この日、首位ヤクルトとのゲーム差は今季最大の7・5まで開いた。あれほど差のあった阪神に同率で並ばれた。あと1試合を残して前半戦の「貯金ターン」の可能性も消滅。本来ならどん底のチーム状況だが、オレ竜は違う。後半戦の逆襲へ向けてサード井端という新たなオプションを手に入れた。【桝井聡】