阪神和田豊新監督(49)がキャンプ休日の7日、高知・芸西村の宿舎で「W-1グランプリ」の開催に意欲を見せた。真弓明信前監督(58)が実績のない若手の発奮を促そうと創設した「M-1」を継承するもので、アレンジを加える。M-1は年間の総合成績がモノを言ったが、選考基準は果たして…。若虎のみなさん、乞うご期待ですぞ!

 若手の底上げに励む秋季キャンプで、和田監督は“12年のニンジン”に思いを巡らせていた。真弓前監督が就任時、実績のない若手の発奮を促そうと創設したM-1を継承する。でもそれだけでは面白くない。より楽しく励みになる独自のカラーを加え、和田賞ならぬW-1に発展させる。

 和田監督

 選手の励みになる賞であれば、そこらへんも考えていきたい。でも同じことをするんじゃなく、違った(やり方も)ね。もう少し考える時間をいただいて、それもありかなという気持ちはあります。

 M-1の対象選手は30歳以下で、年俸3000万円以下。表彰は投手、野手で1人ずつが基本だった。1年目の受賞者は能見と狩野で、昨年は秋山、西村、俊介の3人。今季分は未発表だが、必然的に総合成績が重視される傾向にあった。

 来季ドラフト1位で慶大・伊藤隼太外野手(4年)が入団。今キャンプでも「将来クリーンアップを打てる」とホレ込み、野手挑戦中の中谷将大捕手(18)ら楽しみな若手がたくさんいる。新監督はそんな原石たちにも手が届くような幅広いチャンスを与えようとしているようだ。

 たとえば、現役時代は1、2番を張った和田監督ならではの一芸枠の設置だ。バントや右打ち、進塁打はタイムリーや本塁打に埋もれがちになる。だが目立たなくても、成否がそのまま勝敗に直結する大事な作戦だ。左の中継ぎなら左打者は絶対抑えることも立派な仕事。地味でも抜きんでた活躍をすれば一芸枠で100万円!

 これなら控えでも1軍半でもみんなが頑張ろうと思える励みになる。

 輝きは一瞬でも、ペナントを左右した一投一打で貢献した選手が出るかもしれない。こちらはキラリ枠で100万円!

 オリックスがスポーツ紙で大きく取り上げられた選手をプラス査定にしているように、話題枠で100万円!

 などなど。現在の受賞者はMVPの2~3人だが、受賞枠が増えれば「俺はここを目指そう!」と目標も明確になる。現在1000万円の賞金総額もアップすれば、もっとみんなの目が輝く。

 もちろんおいしい話ばかりではない。6日のキャンプでは、進塁打やエンドランを決められなかった森田や原口に、宿舎まで12キロの罰走を命じた。信賞必罰。これが和田イズムだ。大きく変われ!

 との思いを込め、「大変」をスローガンに掲げた今キャンプ。来季は「大変な男」が出現し、W-1をかっさらうことを願っている。【松井清員】