<オープン戦:楽天0-1DeNA>◇3日◇長崎

 DeNA中畑清監督(58)が持ち前の「せこいぜ!」野球でオープン戦2連勝を飾った。楽天下柳、田中ら実績ある投手陣の前に無得点が続いたが、0-0の9回2死三塁から相手の暴投で決勝点を奪った。ピンチを乗り越え、少ないチャンスをしぶとく生かしきった1-0の勝利。監督は「ただの勝ちじゃない。今年のうちの野球を象徴している、最高の勝利の形」と大きな手応えを強調した。

 9回先頭の梶谷が中越え二塁打を放つと、中畑監督は3番石川に迷わずバントを指示した。中軸がきっちり送って1死三塁。代打吉村三振で2死も、続く藤田が3-2まで粘り7球目の暴投を呼んだ。高木ヘッドコーチは「プレッシャーをかけ続けた成果。藤田が粘ってああいう球(落ちる変化球)を投げさせるカウントにしたことは評価すべき」と収穫を口にした。強打者がずらりと並ぶわけではない打線にとって、泥くさい点の取り方こそ大きな武器となる。それを実戦で実行できたことに意味があった。

 中畑監督は試合前から「ばっちこい!」を連発してチームを鼓舞した。内野手が「向かってこい」と打者を挑発する懐かしい言葉。これまでも好んで使ってきたが、この日は石川、梶谷らの内野陣が好プレーで無失点に貢献して、その期待に応えた。「まだまだ若葉マークの軍団。なかなかやるな、と少しでも気にかけてもらえるチームになりたい」と謙虚に話す新監督は、若いチームと共に着実に経験を積んでいる。【大塚仁】