<巨人3-2中日>◇12日◇東京ドーム
巨人の内海哲也投手(29)が大きな今季1勝目を手に入れた。昨季リーグ最多勝を分け合った中日の吉見一起投手(27)と投げ合い、1歩も譲らずに8回2失点。3失点で先に降板した吉見との直接対決で、2年ぶりに勝った。年齢、右、左の違いを越え、投手として吉見を認める内海は今年の元日、吉見が持つような威圧感を身に付け、吉見に勝つことも目標に掲げた。今年最初の対決でまずは実践。チームに3連勝ももたらした。
これぞエースだった。1点差に迫られた8回。内海は通算1000奪三振で2死とするも、同点の走者を二塁に置き、打席には和田。球数は110球を超え、右投手との交代もあった。だが、ベンチは動かなかった。「普通に考えて交代のところを投げさせてもらってうれしかった。絶対に抑えると思った」。和田の四球後、井端を中飛に仕留め、左拳を握りしめた。
12連勝中だった吉見とのエース対決は、負けられない戦いだった。昨季のセ最多勝を分け合い、この試合まで過去5度投げ合って1勝3敗。「すごい投手なので0で抑えようと思っていた。先に降りたくないというのはありました」。対抗心は、心の中にあった。
元日から物語は始まっていた。内海は毎年、京都・京田辺市内での元日トレを行う。今年は午前9時半から約3時間、ダッシュに遠投と体をいじめ抜いた。ファンが声を掛けられないほど熱を帯びた。正月気分は、一切なし。なぜ、そこまでするのか。
内海
まだまだ吉見とか各球団の代表する投手より劣っていると思う。マウンドでの威圧感とか余裕とかを求めたい。こういう練習をやったという後ろ盾が必要。それが威圧感になってくれたら。
キャンプ初日にも思いは垣間見えた。宮崎・青島神社の絵馬に「強」と記した。「去年はマウンドで強気に向かっていけた。それを継続しようという意味です」。ここ2年は「柱」と記してきた。今季はあえて自分を鼓舞する言葉を選んだ。「今までは成績が出なかったりしたら考え込んでもっと悪くなってしまったりした。今年は弱い自分からなんとか脱却しようと」。誰からも信頼される真のエースを目指すと決めた。
強くなりたいとの願いは勝利への執念につながった。ピンチで思い描いたのは吉見の姿。「吉見だったらどうするかな」。常に動じない雰囲気を出す姿に「まねしてみよう」。4回に味方の2連続失策で1失点し、一瞬頭を抱えかけた。だが「ここで抑えたら流れが来る」と、すぐに気を取り直した。開幕投手を務めたものの2連敗したが、普段通りに振る舞った。「逃げの投球だけはしない」と誓い、内角を直球で積極的に突く攻めの投球に徹した。その先に、最高の今季初勝利が待っていた。
エース対決を制し、チームも引き分けを挟み3連勝。原監督は「そうそうエース同士がぶつかるのはないと思いますが、長いペナントレースの上で、内海に、わが軍に軍配が上がったと言うね、大きいと思いますね」と賛辞を贈った。
試合後のベンチ裏。「うれしいっす!」と満面の笑みで姿を見せた内海だが、最後は真顔で締めた。「チームが勝ってうれしい。借金を早く返していい形で戦っていきたい」。強さを身にまとう、エースの風格が漂った。【浜本卓也】
◆内海と吉見の先発対決
公式戦では今回が6度目で吉見3勝、内海2勝(他に10年のCSで1度)。昨年の吉見は巨人戦に2試合しか先発していないが、ともに相手の先発は内海。2人の初対決だった10年8月19日から、これで吉見が巨人戦に先発したケースは6試合続けて内海との投げ合いに。



