<巨人4-3西武>◇9日◇東京ドーム

 ベンチ裏の廊下。巨人東野峻投手(25)は、大きなキャリーバッグを転がして、帰途に就いた。バッグは翌日の2軍行きを意味する。ようやく立った1軍マウンドに、またもや決別。それでも東野は、曇りのない顔で話した。「自分にとって、どういう風にプラスになるか分からないけど、今日、投げられたことは良かったです」。5回3安打2失点。勝ちも負けも付かない。68球での降板。昨年の開幕投手としては物足りない数字かもしれないが、表情には充実感があった。

 開幕2軍が不満だった。開幕ローテーションの6枠から外れた。首脳陣の評価を素直に受け入れることができない。ささくれだった気持ちでは、2軍でも結果が出ない。負の連鎖に悩みつつ、徐々に考えを改めた。「チャンスをもらった時、この時間を無駄に使っていなかったところを見せないと。カーブを練習して、フォームを戻して。何よりあれこれ考えず、魂を前に出して、1球1球、魂を込めて投げます」。立ち直ったころ、チャンスは来た。

 原辰徳監督(53)からの「負けたらどうなるか、分かってるよな。糧より勝て」という激励に、「キング・オブ・負けん気」が燃えないわけがない。前日8日、鬼の形相で「かましますから。絶対に」と覚悟を表明した。

 結果は立ち上がりに2失点。原監督は「打たれてはいけない4番打者に、初回に2ランを打たれるのは果たしてどうなんだろう?

 それと、彼の持ち味、スライダーの精度が、本来のデキではないでしょうね」と注文を出したが「トータルで見ると良かった」と及第点。今日10日に登録抹消となるが、交流戦明けの1軍復帰切符はつかんだ。リーグ再開と同時に、東野の今季が動きだす。【金子航】