ソフトバンクは12日、FAで獲得した寺原隼人投手(29)の人的補償として馬原孝浩投手(31)がオリックスへ移籍すると発表した。事実上の編成最高責任者となる王球団会長らの決断で、28人のプロテクト枠から除外。右肩故障もあって流出リスクは低いとの予測は外れ、球団最多180セーブの元守護神を失った。小林至・海外兼中長期戦略担当部長は「ショックという表現が適切か分からないが、衝撃を受けた」と息を吐き出しながら語った。

 プロテクト名簿について、小林部長は「何度も議論した。賛否あったが、28人をつくるにあたり全員一致した。王会長に最終承認していただいたし、現場の意見も」と説明。「常勝軍団であることを最優先」し、若手中心のプロテクト方針になったもようだ。

 昨年の馬原は開幕前に右肩の手術を受けて登板しなかったが、ブルペンで立ち投げするまで回復。「開幕に100%に持っていく自信がある」と話していた。リリーフの緊急補強はせず、守護神はファルケンボーグと森福、新加入の五十嵐のいずれかが代役を務めるが、人望もある生え抜きの流出劇だけに、チーム内に及ぼす影響は少なくなさそうだ。

 ◆FA補償

 FA選手を獲得した球団は、その選手の年俸が前所属球団の日本人選手上位10位以内(3位以内Aランク、4~10位はBランク)の場合(1)選手(人的補償)+金銭(2)金銭のいずれかを補償する義務がある。昨季推定年俸8500万円の寺原はBランクに該当。(1)を選択したオリックスは、人的補償の馬原に加え、金銭(Bランクは前年年俸の40%=推定3400万円)を補償される。