<オープン戦:阪神2-3日本ハム>◇9日◇甲子園

 走る虎へ変貌中-。阪神福留孝介外野手(35=ホワイトソックス)の足が、藤浪の初黒星を消した。0-1の5回にセンター右へライナーを放つと、きわどいタイミングながら一気に二塁を陥れた。8日のWBC台湾戦では阪神主将の鳥谷が9回2死から盗塁して逆転勝ちに貢献。「走塁革命」を掲げる和田豊監督(50)も、連日の積極的走塁にニンマリだった。

 獲物を狙った虎の走りは止まらない。福留に、ためらいなどなかった。1点を追う5回、ライナー性の「らしい」打球が二塁上を越えた。一塁前でスピードは落ちない。むしろグングンと加速した。ターゲットは二塁ベースだ。慌てた日本ハム谷口の送球をかいくぐり、二塁打にした。

 「迷い」の言葉を聞いた35歳は「ないっす」と涼しげだった。8番藤井彰の中前打で同点のホームを踏んだ。この時点で藤浪の初黒星はなくなった。積極果敢な走りに感心したのは、「走塁革命」をテーマにする指揮官だった。

 和田監督

 最初からいくつもりで一塁ベースを蹴ってるし、隙あらばとね。打つ、守るだけじゃない。すべてのプレーにきっちりしてる。シートノックでも丁寧にやってるよね。

 沖縄キャンプから積極的な走塁を徹底してきた。オープン戦も「走り」で得点を重ねた。そんなチーム方針は、離れている主将にも届いている。8日のWBC台湾戦、アウトになれば終わりの9回2死で、鳥谷が盗塁した。ノーサインで二塁を陥れ、井端の同点打につなげた。阪神首脳もほれぼれする姿だった。

 和田監督

 あれがやろうとしている野球だよ。あれが目指しているところ。

 久慈走塁コーチ

 トリの盗塁で勝ったよね。あそこは100%の根拠がないと走れない。見本になるよ。

 オープン戦初黒星を喫した。それでも、1万5000人を超えたファンには、新生タイガースの姿が見えたはず。試合前、藤浪に「ライトへ打たせるなよ」と声を掛けて緊張を和らげた福留は言った。「自分たちが何をすべきか考えて、しっかり理解しながらやるのが大事。意識を常に持ちながらね」。走る虎、考える虎は、簡単にへこたれない。【近間康隆】