<西武3-2ヤクルト>◇1日◇西武ドーム

 歓喜の瞬間、元世界王者よりも鋭いパンチを連打した。西武キャプテンの栗山巧外野手(29)が一塁ベースを回ると、握った両拳を交互に突き出す。「具志堅さんがやっていたと思って、パッと思いつきました」。始球式に駆けつけたボクシングの具志堅用高(57)のパフォーマンスを拝借した。「打ってすぐ、あのパンチを出せるのがすごい」と秋山が感嘆したように、勝負強さだけではなく、瞬間の発想力でもうならせた。

 「今日はおれが決めようと思った」と2日連続サヨナラ勝ちの主役になった。同点の延長10回1死一、二塁。自身4度目のサヨナラ打は、中堅フェンス手前で弾んだ。前日サヨナラ3ランを放った浅村には「虫歯を放っておくな。かみ合わせが悪いと力を出せない。治してこい」と助言し、実行させたことがある。若手には、うるさがられても厳しく言う。野球に限らず、生活面でも。昭和の薫りがする栗山のような教育係がいるチームは強くなる。

 中島、中村不在のチームで、渡辺監督が全幅の信頼を置く存在だ。「調子が下がっていたけど、こういう場面で打ってくれる。さすがキャプテン」とたたえた。体の状態は、決して万全ではない。この日は、痛みがあった手首に負担の少ない打撃フォームを練習で試し「バットのヘッドが自然と出る打ち方を発見した」という研究熱心さも人一倍ある。後藤オーナーの御前試合で4連勝、2位浮上へ導いたチームリーダーが頼もしかった。【柴田猛夫】