阪神が非常事態に陥った。28日DeNA戦で5回6失点KOされた榎田大樹投手(26)の出場選手登録を抹消した。今季Gキラーだった左腕は8月2日からの巨人3連戦(東京ドーム)にも先発する予定だった。さらにリードオフマンの西岡も左膝痛を抱える。4連敗で首位巨人とは5・5ゲーム差。今日30日からは、夏の長期ロード前最後の中日3連戦(甲子園)。正念場だ。

 甲子園の室内が慌ただしかった。29日、若手中心の指名練習で、開始時間になっても首脳陣が現れない。中西、山口両投手コーチが15分、いつもは練習前に出て来る和田監督は35分遅れで顔を出した。笑顔はない。練習中も黒田ヘッドコーチと並んで座り、何かを話し合っていた。練習終了からしばらくして、榎田の出場選手登録が抹消された。

 リーグ制覇への「G倒」プランが崩れた。榎田は前日28日のDeNA戦に先発。プロ入りワーストの6失点で5回KOされた。先発転向した今季は、ここまで巨人戦4戦で3勝、防御率0・64をマークして「Gキラー」と呼ばれている。8月2日からの巨人3連戦(東京ドーム)にも先発する予定だったが、再登録は8月8日以降。次回の巨人戦登板はなくなった。

 首脳陣は巨人に相性のいい榎田と能見、スタンリッジを用意していたが、やむを得ずの2軍再調整となった。DeNA戦ではフォークが大きく抜ける場面もあり、100%の状態と言えないのも事実。現時点で6月に違和感を訴えた左肘に痛みはないが、再発防止も踏まえた上でもう1度、状態を上げることになった。

 榎田はこの日の練習には現れなかった。山口投手コーチは「(クラブハウスの)中でプール(トレ)をやっている」と説明した。本拠地でDeNAに3タテを食らい、首位巨人との差は5・5ゲームに広がった。「首位攻防」ではなくなった巨人戦は、今日30日中日戦に先発するメッセンジャーを中4日で投入するか、あるいは2軍で好成績を残す秋山や、27日のウエスタン・リーグ広島戦で完封した白仁田が候補になる。

 リードオフマン西岡の状態も上がらない。この日、和田監督は「出ると次の日は(ダメ)というのもね。本人は行く気満々だけど、そこは少し落ち着いていかないと。元気なものがいくしかない」と無理させない方針を明かした。出場と欠場を繰り返す中で西岡もチームも波に乗れずにいる。

 後半戦に入り、湿る打線には期待ができない。前日28日は2年目西田がプロ初出場。若い力に4連敗の現状打破を託す。今日30日からは中日との3連戦。長期ロードへ出るため、次の甲子園は1カ月ほど後の戦いになる。本拠地で立て直して、再び歩み始めるのか。虎のしっぽに火が付いてきた。【近間康隆】