右肘を痛めて開幕絶望の中日浅尾拓也投手(29)が17日、手術を回避する方針を固めた。今月6日に「右肘関節内側の側副靱帯(じんたい)損傷」と診断され、現在はノースロー調整。5月中旬の投球練習再開を目標に設定しており、最短6月の1軍復帰を目指す。明日19日に再検査を受けて方針を最終決定する。右肘手術からの再起を期すエース吉見一起投手(29)とのダブル復帰の可能性もある。

 ナゴヤ球場で練習する浅尾が、痛めた右肘の状態について語った。練習はランニングメニューとゴロ捕球など限られている。ボールを力強く投げる動作は一切ない。気になるのは、現在でも右肘に張りや痛みを感じているのか、という点。

 浅尾

 今は痛みはまったくないです。ただ、投げていないですから。投げてみてどうなるか。そこは分かりません。

 キャンプ中の2月20日に右肘の張りを訴え、同25日のシート打撃登板を回避。今月2日には打者相手に打撃投手を務めるまで回復したが、わずか12球で降板した。同6日に「右肘関節内側の側副靱帯(じんたい)損傷」と診断された。予想以上の重傷だった。

 浅尾

 靱帯(じんたい)が全部が切れちゃったとか、そういうわけじゃないんです。部分的に損傷しているというか…。周りに炎症とかもある。

 ただ、症状が深刻であればもちろん手術の可能性もある。エース吉見も昨年6月に損傷した肘の靱帯(じんたい)を切除し、他の箇所から採取した正常な腱(けん)を移植する通称トミー・ジョン手術を受けた。そうなれば、復帰まで1年近くの時間を要する。

 浅尾

 手術はたぶんというか、ないです。今のところ。

 最終決定は再検査を受ける明日19日以降になるが、現在は手術を回避する方針だ。浅尾のリハビリをサポートするスタッフは、5月中旬のブルペン入りを1つのメドにしている。順調にハードルをクリアしていけば、最短6月の1軍復帰が見えてくる。

 浅尾

 自分の中では今すぐにでもやりたい(投げたい)という気持ちはありますよ。やっぱり。ただ、これまで「できます」と言ってダメになってる。大事に思ってくれているコーチの方やトレーナーさんの話をしっかり聞いてやっていきたい。

 過去2年は右肩痛の影響で苦しいシーズンを送った。昨季1軍に合流したのは球宴直前の7月中旬。焦りや不安から“遠回り”したという反省がある。1軍合流の時期は、6月復帰を目指すエースと重なる。6月に浅尾&吉見が帰ってくる-。これがベストなシナリオだ。【桝井聡】