巨人が財界の大物を前に「笑い」で一致団結した。チームは19日、都内ホテルで巨人を応援する財界人が中心となり、開幕直前のチームを激励する「燦燦(さんさん)会」に参加。新加入の大竹寛投手(30)が予定になかったインタビューでモノマネを披露して、重厚な場の空気を一変させた。最後は原監督が阿部主将、ベテラン高橋由、そしてチーム一シャイな山口に締めのあいさつをムチャ振りして、過去最大級の盛り上がりで決起会を終えた。

 大竹に笑いの神が降臨した。球団、そして財界の大物がそろう燦燦会。エース内海の指名を受けて、急きょインタビューに登壇した。「ご紹介にあずかりました広島から移籍してきた大竹寛です」。丁寧すぎる自己紹介で来賓の心をくすぐる。巨人渡辺会長、長嶋終身名誉監督、経団連の御手洗前会長…。ある意味、バレンティン、ブランコよりも破壊力満点。日本経済を動かす強力ラインアップに笑いの投球術を展開した。

 「開幕を前に気持ちが高ぶってきました」と素直な直球で様子を見ると、内海から「普段と違う」とカット。司会者が「普段の大竹さんは?」と相乗りすると、内海が厳粛なムードを察して「やめておきましょう」と空振りしようとした。だが大竹がシュートで上体を起こす。「もっとイジってもらった方が色が出るタイプ」と応戦。意を決した内海から「モノマネが得意です」と振られると「やるしかない流れですね」と前に出た。

 「アニメ・サザエさんより。マスオさんの声」とモノマネ番組風に切り出すと「まいったな~」とマスオさんのごとく声をひっくり返した。一瞬の静寂。だがすぐに財界人たちの顔が笑顔に変わっていった。素朴に見える人柄からの絶妙なチェンジアップが決まった。

 重厚な燦燦会の空気が変わった。締めのあいさつ。新選手会長の村田が流ちょうなあいさつを終えると原監督が急きょ、阿部主将を指名。さらに指揮官は「40歳になる高橋由伸があいさつをしたいそうです」と水を向けるとベテランは「40歳と紹介されましたが、今年で39歳です」と反論して笑いが起きた。最後のムチャ振りは「今年は給料もたくさん上がって、あいさつの方もしっかりしてほしい」とチーム一シャイな山口へ。「何試合投げるんだ?」と目標設定を促して「75試合投げたいです」と宣言させた。「ヨ~ッ!」「ホッ!」と不慣れな山口の3本締めの掛け声で笑いとともに大団円を迎えた。

 主役の大竹は「例年あんな雰囲気じゃないんですか?

 新加入なのに大丈夫かな~」と心配そうに会場を後にしようとすると「大竹さん、頑張って~」とホテルロビーにいた出席者から喝采を浴びた。KANの「愛は勝つ」を登場曲に選ぶ新顔右腕。チームを代表して「心~配ないからね~♪」とばかりに、笑いでチーム一丸を財界の大物にアピールした。【広重竜太郎】

 ◆サザエさん

 昭和の日本を忠実に描いた、不朽の名作漫画。フグ田マスオは、主人公サザエの夫で、妻の実家に婿入りという形をとらずに同居している。気が優しく、元気いっぱいなサザエとは最高のコンビ。2人の間には「タラちゃん」こと、1人息子のタラオがいる。ちなみに大竹家も今年1月、第1子の長男が誕生した。