超異例調整から超速デビュー!

 広島ドラフト2位九里亜蓮投手(22=亜大)が20日、開幕2戦目の3月29日中日戦(ナゴヤドーム)でデビューすることが決定的となった。すでに開幕カードの先発が確実だったが、広島ルーキーの2戦目先発となれば07年青木高(現巨人)以来7年ぶりのスピードデビュー。次回は珍しい「4日前ブルペン」から、明日22日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で最後の調整登板に臨む。

 九里はブルペンを素通りし、ベンチ裏通路に現れた。驚く報道陣に横目に、笑顔で球場を後にした。

 「ブルペンに入り過ぎるともたない、と先輩に教わったので。(登板間のブルペン投球は)1回にしようと思ったんです」

 次回は明日22日ソフトバンク戦に先発し、6イニング前後を投げる予定。プロでは登板日の2日前にブルペン投球する投手が多く、九里もこの日ブルペン入りすると予想されていた。畝投手コーチ兼分析コーチも練習直前までそのつもりでいたが、本人が出した決断は「入りません」だった。

 もちろん、調整は人それぞれ。登板日の前日に入る投手もいれば、3日前に入る投手もいる。ただ今回の場合、九里が前回ブルペン投球したのは18日。今日21日もブルペンには入らない予定で、超異例の「4日前ブルペン」から最後の実戦に臨むことになった。

 「大学は春季と秋季リーグだけ。プロは1年間ずっと試合がある。そこを見すえてやろうと思って」

 亜大時代は連日のようにブルペン入りし、平気で1日に200球以上投げ込むタイプだった。調整法変更は1年間フル稼働するため。登板間に1度しかブルペンに入らないことが目的で、次回は3日前もしくは2日前にブルペン入りする可能性も十分あるが、開幕直前に「4日前ブルペン」を試すこと自体が衝撃だ。

 開幕ローテの一員としての自覚が、型にとらわれない調整法を後押しした。明日22日のマウンドに上がることで、デビュー戦は中6日で開幕2戦目の3月29日中日戦となることが確実。広島新人の2戦目先発となれば07年青木高(現巨人)以来7年ぶりのスピードデビューとなる。首脳陣の期待を肌で感じるからこそ、妥協せず最良の調整法を模索しているのだろう。

 まずはソフトバンク戦で快投し、「4日前ブルペン」の成果を確かめたいところだ。「11連勝しているチーム。どんどん向かっていって、課題が出れば、それを受け止めてやっていく」。失敗を恐れず、果敢にチャレンジする。九里の度胸が頼もしい。【佐井陽介】