<阪神14-8ソフトバンク>◇8日◇甲子園

 阪神が1回に一挙9得点の猛攻でソフトバンクに打ち勝った。3試合連続2桁得点中の鷹打線に1点を先制されたその裏、1死三塁から鳥谷敬内野手(32)が強烈な弾道を描いた。左腕オセゲラの初球内角シュートを強振すると、浜風をものともしないライナーが右翼ポール際に飛び込む。5号逆転2ラン。さらにゴメスが安打で続くと、四球を挟んで6連打。猛攻は止まらず、この回打者14人攻撃でスコアボードに9を刻んだ。

 鳥谷

 大和が何とか右方向に打って(走者を)送ってくれて、どんな形でもいいから思い切っていこうと思っていた。内野も前に来て、バットに当てれば何とかなる。チャンスでかえすのがクリーンアップの仕事。

 敵の反撃にはパンチで応酬する。3点差に追い上げられた3回、2死三塁で左前適時打。突き放して、流れを引き戻した。3安打3打点の主将が引っ張り、カード初戦の連敗を10で止めた。

 球界を代表する好打者になった。交流戦の開幕前、全選手が日本プロ野球選手会のアンケートでライバルを記名。阪神野手でもっとも多かったのが鳥谷だ。50票以上を集め、マートンの16票、西岡の14票を大きく突き放した。いまやパ・リーグの猛者も一目置く存在だ。一切の妥協がない姿勢は他者の追随を許さない。

 和田監督は「しいて言うと、3回の鳥谷の1点。完全に風向きは向こうに吹いていたけど、あの1点で、もう1回引き寄せることができた」とたたえた。

 ソフトバンクが12安打8得点なら虎は18安打14得点。乱打戦でも鳥谷の存在感は際立つ。猛打賞は通算105度目になり、掛布まであと1度。早くもレジェンドの域に差しかかりつつある。【酒井俊作】