阪神が、初の国内フリーエージェント(FA)権の取得が迫った西岡剛内野手(29)に残留要請することが20日、分かった。3月の肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷から既に2軍で実戦復帰しており、交流戦明けの1軍合流も現実味を帯びている。戦力としてはもちろんリーダーシップも評価しており、引き留めに最大限の誠意を尽くす。

 阪神が誠意を尽くす。西岡は現在、復帰へ懸命に汗を流している。既にウエスタン・リーグではフル出場を果たすなど、交流戦明けの1軍合流も見えてきた。球団幹部も「まずは1軍の試合に出てから。そうでないと復帰へ向けて一生懸命な彼に失礼になる」と前置きしながら、「もちろん大事な選手に変わりはない。そうなるのは当然でしょう」と今オフへ向けて残留要請することを明かした。

 西岡は、あと27日の出場選手登録で国内のFA権を取得する。10年オフにポスティングシステムで米ツインズへ移籍しており、初の権利取得になる。12年オフに阪神入りした際は、推定6億円(年俸2億円プラス出来高、契約金含む)で2年契約した。契約最終年である今季、長年プレーしてきた権利も手にする流れにある。

 3月30日巨人戦の守備中に交錯して、肋骨(ろっこつ)や鼻骨を骨折する重傷を負った。約3カ月の戦線離脱になっているが、NPBには「故障者特例措置」がある。2月1日から11月30日までのグラウンド上での故障が対象となり、FAの登録日数として最大60日が加算される。西岡の1軍復帰が万が一遅れても、この救済制度を使えば適用は間違いない状況にある。

 阪神1年目の昨季はリーグ7位の打率2割9分、二塁手でベストナインを獲得するなど大きく貢献した。グラウンド上だけでなく、明るい性格で後輩を引っ張り、チームのムードメーカーとしても活躍。球団首脳は「チームのムードも変えてくれた。絶対に必要な戦力なのは明らか」と評価する。

 まずは、甲子園で勇姿を見せるためにバックアップするのが球団として第一。FAの具体的な話し合いはシーズンオフになるが、幹部も「タイミングを見て」と話す。球団の顔でもあるだけに、ペナントの戦いに配慮しながら引き留める気持ちを見せていく。