162キロ右腕が背番号「11」の先輩の記録に挑む。日本ハム大谷翔平投手(20)が、明日26日楽天戦(コボスタ宮城)で初の2桁勝利をかけ先発する。24日、遠征先の大阪から仙台へ空路移動した。後半戦初登板で勝てば、チームでは11年のダルビッシュ(レンジャーズ)以来のシーズン8連勝。さらに高卒2年目での10勝到達&残り3イニングの100投球回突破も06年のダル以来となる。球宴を沸かせた剛腕が、また新たな節目を刻む。

 数々の節目が待っていても、大谷は落ち着いていた。初の2桁勝利がかかる登板を前に「1勝、1勝しっかりやっていければ、と思います」。淡々と、やるべきことだけを口にした。今季の目標の1つとしていた数字に手が届くが、個人の思いは封印。「(後半戦開幕カードでオリックスに)3連敗したので、カード頭をしっかり取れれば」。自身は欠場見込みの今日25日楽天戦で、まずはチームの連敗ストップを願った。

 背番号「11」の先輩の後を追う。前半戦は9勝を挙げ、自身7連勝でフィニッシュした。26日楽天戦で勝利すれば8連勝。チームでは11年のダルビッシュ以来の連勝記録となる。高卒2年目で10勝、そして残り3イニングと迫る100投球回突破となれば、こちらも06年のダルビッシュ以来。「あんまり関係ないですね」と記録への執着はないが、かつての大黒柱と肩を並べる可能性は十分だ。

 飽くなき探求心が快挙達成の原動力となる。ダルビッシュは投球フォームを参考にする1人。「1番最高なお手本」とし、球宴では日本人最速の162キロをマークした。理想には近づいているが、まだ改良の余地ありと考えている。「フォームは体と同時に変化する。これで固定することはないです。今のままでは、つまらないのでどんどん変えて自分に合ったものを探したい」。変化を恐れず進化を求める姿は先輩に通ずる。意識せずとも、前エースが歩んだ道を着々と進むはずだ。

 コボスタ宮城での登板も今季は2戦2勝で防御率0・59と相性抜群。9日楽天戦では今季2度目の完投勝利。故郷・岩手のある東北のマウンドを味方に付けている。「1人1人、しっかりやれれば」。言葉は控えめでも、豪快なパフォーマンスで節目の勝利をつかみにいく。【木下大輔】