<阪神5-3DeNA>◇4日◇甲子園

 ゴメンネ先輩、阪神マウロ・ゴメス内野手(29)が最強“ルーキー”助っ人になった。追いつかれた直後の3回、左翼へ弾丸ライナーの23号ソロ!

 これで93打点となり、76年ブリーデンが記録した「1年目助っ人」打点の球団記録をブリブリっと更新。この勢いで、99年ヤクルト・ペタジーニの112打点もペタペタっと塗り替えろ!

 日本に来て、言葉は分からず、文字も読めない。勝手の分からない異国だからこそ、ゴメスは郷に従う。甲子園のクラブハウス。同僚の口ぶりをまねて、おどけて言う。「ナンヤネン!」。「ナニシテンネン!」。とどめは「ナニミテンネン!」だ。いまや関西弁にもなじみ、すっかりチームに溶け込んだ。たどたどしい日本語が示すように素直さも活躍の一因だ。

 ベテラン三浦には「ナニミテンネン」と因縁をつけない。あくまで好球を見定める。同点に追いつかれた直後の3回2死。初球だ。内寄りシュートを痛打するとライナーで左翼ポール際に一直線。勝ち越し23号ソロに百戦錬磨の右腕も顔をしかめた。和田監督も「あれで空気が変わったのはある」とうなる。これぞ4番の一撃だ。リーグ1位の93打点は阪神の来日1年目外国人でも最多となり、球団史に名を刻んだ。

 「うれしいよね。光栄なことだよ。もっともっと打てるように頑張る。初球から積極的に、いい感じで打てた。打てる球に自分のスイングをすることだけさ」

 豪快に映るが、クレバーさが武器だ。キーワードは「初球」。三浦との対戦3打席はすべてファーストストライクを打ちにいった。「それは相手による。三浦投手のようにコントロールのいい投手には初球から積極的にいこうと思っている」。2ストライクに追い込まれれば打率は1割台。自らの「弱点」を知り抜き、適切に準備する。

 1年目で、1度もスランプに陥っていない。失敗を引きずらない、心のもちようがある。「力んで打ち損じることもボール球に手を出すこともある。それも野球。切り替えるだけさ」。阪神助っ人では86年バース以来の打点王も近づいてきた。それでも謙虚になる。「日本には投げたいところに投げられる投手が多くいる。打者からしたら嫌。まだ学ぶことはいっぱいあるんだ」。折り目正しいドミニカンが、虎をどっしりと支えている。【酒井俊作】

 ▼ゴメスが23号本塁打で93打点目を挙げ、76年ブリーデンの92打点を超えて阪神来日1年目外国人打点の単独1位となった。セ・リーグの日本球界1年目外国人では、84年クロマティ(巨人)と並び10位。最多は99年ペタジーニ(ヤクルト)112打点。また阪神来日1年目外国人の23本塁打は79年スタントン、95年グレンと並び5位。最多は76年ブリーデン40本。