日本ハムの大谷翔平投手(20)が、高卒選手では球界最速タイで1億円プレーヤーになった。5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、7000万円増の1億円(金額は推定)でサイン。複雑な要素が絡み合う投打「二刀流」の査定で、西武時代の松坂大輔に並ぶ高卒3年目での大台に到達した。さらに飛躍が期待される来季に向け、初めて開幕投手を目標にすることを明言した。

 新調したスーツで無数のフラッシュを浴びた。「ぴったり1億円です」。2桁勝利&2桁本塁打の偉業を打ち立てた大谷が、球界史上最速に並んだ。7000万円増の1億円。高卒3年目での大台到達は、西武時代の松坂以来2人目で、球団ではダルビッシュでも届かなかった数字だ。「すごく高く評価していただいてありがたいです。こんなスピードで(年俸が)上がっていくと思わなかった」と喜んだ。

 「二刀流」査定は今年も難解だった。投手としては24試合に登板し11勝4敗、防御率2・61、打者では10本塁打を放ち、打率2割7分4厘の数字を残した。投打それぞれの査定ポイントを算出するが、単純に合算するわけではない。島田球団代表は「(大谷の査定は)当然、難しい。本人にもそういう話はする」と明かす。両方やることで生まれるメリット、デメリットを“調整給”のような形で考慮し、年俸が確定。ポイントに、査定担当者の「目」と球団首脳の「頭」を加えた結果、大谷も「金額が大きすぎて実感がない」と驚く高年俸がはじき出された。

 大幅増に浮かれることはない。「欲しいものはないです。犬が欲しいんですけど(寮生活で)飼えないので…」と物欲はないが、エースとしての自覚は胸に宿った。「開幕投手は目指したい」。入団後、初めて大役へ名乗りを上げた。10月のCS第1Sでも「開幕投手」を務め、重圧とやりがいを肌で感じた。「シーズンの中でも大事な試合。そういう試合を任されるのは幸せなこと。一番最初に勝ってくれる投手だと思われるように」。今季大役を務めた吉川や上沢ら先輩を相手に、挑戦状をたたきつけた。

 投打「二刀流」は来季も継続。エース兼クリーンアップとして、チームの勝利に貢献していく。「(成績が)今年より下がってはいけない。(侍)ジャパンもあってトレーニングがあまりできていない。他の人より出遅れてる感があります」。札幌滞在わずか2時間半で帰京。年俸が大幅に増えても、大谷の頭には練習とトレーニングのことしかない。【本間翼】

 ▼大谷が1億円で契約更改。入団3年目での1億円到達は最速タイで6人目。高卒選手では01年松坂(西武)に次ぎ2人目。過去5人のうち投手4人はマイケル中村が最多セーブ、則本が最多奪三振、菅野が最優秀防御率、松坂が最多勝利、最多奪三振と2年目にタイトル獲得。大谷は無冠ながら異例の大台到達となった。