広島広瀬純外野手(35)が29日、頭をそり上げて合同自主トレに参加した。春季キャンプは2軍スタートが決まっているが、キャンプ前から精力的にトレーニング。法大4年生で東京6大学春季リーグ優勝を飾った時以来の丸刈りにカープ24年ぶり優勝を祈願。15年目のベテランは、チームの力となるためにやるべきことを理解している。

 体が温まり、ニット帽を脱ぐと、そり上げられた頭がむきだしとなった。全体練習後にマシン打撃を行い、さらにトレーニング室にこもった。ベテラン広瀬の頭から湯気が立ち上る。キャンプイン3日前、35選手が参加し熱を帯びる合同自主トレでも、存在感は他を圧倒していた。

 気合十分の容姿とは異なり、気持ちは冷静だ。今春キャンプは、プロ15年目で初めて2軍からスタートする。若手が多く同行する1次キャンプは競争の場であり、マイペース調整を許可された意味合いが強い。「しっかりと自分のペースでやらないといけない。実戦に入っていく中で呼ばれるように準備していく」。常に自分に厳しい男は、強い責任感を口にする。

 そり上げられた頭は、単なる決意表明ではない。法大4年時に新チームの主将としてチームを厳しく引っ張る意思表示として頭をそり上げた。その結果、チームは春季リーグ優勝を果たした。「御利益がある縁起ものだから。自分にとっては分岐点と言えるものかもしれない」と15年ぶりに頭を丸めた。

 今季広島は黒田や新井が復帰。昨季まで2年連続クライマックスシリーズに出場し、24年ぶりの優勝に現実味が帯びている。

 松山や鈴木誠らの若手が台頭し、右翼のレギュラーは保証されていない。先頭に立って東京6大学の頂点に立った大学時代とは異なり、今季はチームの先頭ではないかもしれない。それでも堅守強肩、勝負強い打撃は健在。経験に裏打ちされた調整法も心得ている。3月に36歳となるベテランの力は、広島の悲願達成に欠かせない。【前原淳】