新打法の威力を見せつけた!

 打撃改良中の阪神大和外野手(27)が2日、フリー打撃で鋭いライナーを連発した。135スイングで安打性の当たりを70本放ち、練習ながら打率は5割1分9厘をマーク。3月27日からの開幕戦を戦う中日スコアラーからは、早くも猛虎打線のキーマンに指名された。新たな安打製造機誕生の予感だ。

 スマートなフォームとは反比例だった。大和の力強いライナーが何度も外野の芝に弾む。1年目江越、2年目陽川らが高い弾道を描く隣でも、着々と振り込むだけだった。フリー打撃とはいえ、新打法の効果は明らかだった。

 「いい感じに打てています。そう(力強く)見えたなら良かったです」

 全試合出場を掲げる今季、最大の課題は打撃。昨季は好不調の波もあり打率2割6分4厘止まり。ゴールデングラブ賞の守備と足は誰もが認めるだけに、今オフはシンプルな打撃フォームに挑戦してきた。左足を引いたり、大きく上げることはなく投手側に踏み込むことでバットが動きだす。無駄な動きが少ないため確率が上がる構図だ。掛布DCも「最短距離でバットが出る。すごくいい状態だと思う」と褒めたたえた。一定の間合いで来るボールをはじき返す姿は、安打製造機そのものだった。

 キャンプ2日目での手応えは大きな収穫だろう。開幕への途中段階ではあるが、完成度はライバルへの先制パンチにもなった。開幕の相手となる中日井本スコアラーは「打球が強くなっている。打線の中で大和はポイント。2番に入って打てば得点力が上がる」。もちろん効果を試すのは実戦だが、現段階で不安要素は見当たらない。

 開幕戦は2年連続猛打賞を達成。好調な今の姿を掛け合わせて同スコアラーは「開幕3連戦の後に打ってほしいね」と笑った。ただ、大和の目指す先は春先だけのブレークではない。1年間の成功のために今がある。【松本航】