<東京6大学野球:慶大5-0明大>◇第6週最終日◇17日◇神宮

 慶大が明大に完勝、勝ち点4で2季ぶり33度目の優勝へ大きく前進した。1回裏、1番辰巳智大外野手(3年=郡山)の先頭打者本塁打で先制するなど2点。3回には5番阿加多(あがた)直樹捕手(3年=慶応)が左中間へ2点二塁打。5回には3番山崎錬内野手(3年=慶応)が今季2号ソロを放ち突き放すなど、3年生が大活躍した。今秋ドラフト1位候補の4番伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)は3打数1安打。明大は4安打に封じられ優勝戦線から脱落、慶大は最終週の早大戦で勝ち点5の完全優勝を目指す。

 3年生の辰巳が強烈に先陣を切った。2球目の140キロ直球を右翼スタンドに放り込んだ。のどに痛みを覚え、朝から38度5分の熱が出た。解熱剤をのんで出場していた。公式戦人生初の1発に「どう打ったかも覚えていない」と笑った。この日は伊藤と同じ左打者の3年生4人で全打点を挙げた。

 伊藤の存在が好影響を与えていた。山崎錬らが1年のころ。全体練習は午後が主だったが、早朝から伊藤が1人黙々と汗を流していた。その背中を追うように、朝練する選手は増え「今ではみんなやるようになった」(山崎錬)という。打撃練習でも教えをもらった。一例は置きティー。外角低めを意識しながら内角高めに置いた球を体が開かないよう打つ。辰巳は「そこより難しい球はないし、外を打つにも楽になる」と説明されたという。

 そんな後輩たちが活躍し、伊藤は「本当によく練習するんです。頼もしい」。部員に風邪がまん延しているのか、赤い顔と鼻声ながら満面の笑みでたたえた。【清水智彦】