「トリイバ」コンビで決勝トーナメント進出を決める。侍ジャパンは2次ラウンド突破がかかる今日10日のオランダ戦(東京ドーム)で、1番に鳥谷敬内野手(31)、2番に井端弘和内野手(37)を起用することが濃厚となった。大会5戦目で5パターン目となる1、2番コンビは、前日8日の台湾戦で9回2死から奇跡の同点劇を呼び起こしている。オランダの強力打線に対し、足を絡めたスモール・ベースボールで勝負を挑む。

 強打には足で対抗する。山本監督は今日10日オランダ戦の打順構想を問われ、冗談まじりにはぐらかした。「こっちで考えるから放っておいてくれ」と話したが、腹は決まっている。ここまで4試合のうち3試合で先制点を許し、後手後手を踏んできた。立浪打撃コーチは「今度こそ、先制しないと厳しい」と気を引き締める。決勝ラウンド進出がかかる一戦。先制点奪取を強く意識し、全試合で違うコンビを組んできた1、2番の新パターンを採用する可能性が高い。

 1番鳥谷、2番井端。これが現時点で首脳陣の理想型と予想される。立浪コーチは打順を探る質問に対し「1番鳥谷?

 いい線いってますね。足があって出塁の可能性が高い人。角中、松田、本多も。井端の2番は変わらないでしょう」と説明した。角中は前日8日台湾戦で1番起用され、3打数無安打と機能しなかった。本多は大会4試合でわずか1打席しか立っていない。オランダは右腕が先発予定とあり、右打者松田の1番起用も考えにくい。ここで鳥谷が浮上する。

 鳥谷はまだ安打こそないが、4四球で出塁率4割。11年はリーグトップの出塁率3割9分5厘を記録し、12年は両リーグ最多の94四球を選んでいる。台湾戦では1点を追う9回2死一塁から、自身の判断で意表を突く二盗に成功。立浪コーチの理想像にピッタリの存在だ。その鳥谷と井端は既に相性の良さが証明されている。台湾戦は鳥谷二盗後、2死二塁から井端が同点の中前適時打。2人だけで試合を振り出しに戻している。新1、2番コンビは積極走塁&つなぎを重視する日本野球の象徴になり得る。

 4試合で3本塁打のオランダに対し、日本はまだ本塁打なし。一方で1盗塁に対して6盗塁を記録している。戦い方は明白だ。オランダはクイックの速度が遅いという情報もある。梨田野手総合コーチは首脳陣を代表し「リードオフもそうだし、日本の選手は(盗塁技術が)すごい。長打力ではかなわない。そういうところでアグレッシブにいく」と足攻めを宣言した。

 鳥谷は練習後、あらためて台湾戦の盗塁を冷静に振り返った。アウトになれば試合終了の場面だったが「それは全然考えなかった」とサラリ。「いつもチャンスがあれば、と考えている。オランダの映像はまだ見ていないけど、しっかり準備したい」。自身の役割は認識している。

 勝てば、山本監督が常々第一目標に掲げてきた「アメリカに行こう!」が現実となる。「厳しい戦いが続くので、1試合1試合やっていくだけ」と指揮官は力を込めた。1番鳥谷、2番井端でかき回し、3連覇への道を切り開く。勝負のオランダ戦、初回から目が離せない。【佐井陽介】