<大相撲春場所>◇14日目◇21日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 横綱、大関陣が大崩れする中で、優勝争いが千秋楽までもつれた。ここに来て盛り上がる春場所。誰あろう照ノ富士のおかげだ。強さの秘密には、土俵際で見せる驚異の粘り「残り腰」がある。天性の持ち味の半面、そこには「間垣部屋」の2人の力が隠れている。

 13年春場所限りで閉鎖した間垣部屋に、照ノ富士と改名する前の若三勝がいた。名門鳥取城北高からの入門。兄弟子で元幕下若青葉の佐藤利哉さん(28)は「事あるごとに『鳥取は…』と話してプロを甘く見ていた」と振り返る。だが、200キロ以上ある若青葉の圧力に簡単に土俵を割る。まるで残れなかった。

 そこから若三勝の目の色が変わった。「キツイよ」と漏らしながら何度も味わい、対策を立て、耐える力を蓄えた。「自分とは関係ない。天性のモノですよ」と佐藤さんは言う。ただ、天性の残り腰が目覚めた。

 もう1人の兄弟子、三段目の駿馬(33)は今、付け人。支度部屋の出番前に全力でぶつかり、照ノ富士が残す。それが決まり事。「首に電気が走って整体に行ってます」と苦笑いするが、激しい音が部屋に響く。

 3人は一緒に伊勢ケ浜部屋に移った仲。白鵬に勝った夜、駿馬は宿舎隣の店でささやかに祝った。佐藤さんも東京から祝福した。照ノ富士の躍進には「間垣」の力もある。【今村健人】