<新日本:G1クライマックス>◇2日目◇7日◇大阪府立体育会館◇観衆4500人

 5月に全日本を退団した小島聡(39=フリー)が、G1制覇に向けて好発進した。新鋭の高橋裕二郎(29)とのB組初戦。8分20秒、最後は剛腕ラリアットで3カウントを奪った。6月の左ひじ手術を乗り越え、6日のタッグ戦で3カ月ぶりに実戦リングに復帰していた。

 痛かった。小島はメスを入れた左ひじに集中砲火を浴びながら、必死の形相でエルボーを見舞った。反撃されても流れは渡さない。19年のキャリアが試合勘を覚えている。最後は右腕のサポーターを投げ捨て、剛腕ラリアットを一閃(いっせん)。おなじみの「いっちゃうぞ」の掛け声も出さず、高橋をわずか8分強でマットに沈めた。

 「おれは奇跡を呼ぶ男だ。2カ月前、左ひじを切り裂いて、1センチも動かなかった男だよ。やられて痛かったけど、そんなものは自分の中で消化したい」。

 苦しかった。5月に全日本を退団。リングで満足に練習できない環境に戸惑った。さらにひじの手術。患部に負担をかけない加圧式トレーニングが功を奏し、この大舞台に間に合った。G1開幕前には自転車型トレーニング器具に替えて、大嫌いな走り込みで体力強化も図った。華麗に復活するため、できることは何でもやった。

 「こうやって戻ってきたこと。新日本のリングに上がったこと。そしてG1に出たこと。全部が奇跡だ。もう1つ奇跡が残っている。それはG1で優勝することだ」。堂々のV宣言とともに、強い「コジ」が帰ってきた。【大池和幸】