WBA世界スーパーバンタム級王者の李冽理(28=横浜光)が「深紅の必勝ガウン」を身にまとい、初防衛戦に臨む。28日、下田昭文(帝拳)戦(31日、東京・有明コロシアム)で入場時に着用する特製ガウンが完成。横浜市内の横浜光ジムで最終調整後、製作した応援会関係者から贈呈された。王者の赤コーナーと祖国統一への思いを込めた一品。V1への闘志を新たに決戦への準備を整えた。

 決戦を3日後に控え、李が心身ともに最高レベルの状態に仕上がった。横浜ジムで石井会長代行と最後の実戦練習を終え、下田戦までに予定していた全てのメニューを消化。さらに、完成したばかりのガウンを応援会関係者から手渡され「チャンピオンの赤コーナーは自分のカラー。日本タイトルの初防衛戦も赤だった。自分にとっては縁起がいい。勝ちます」と闘志をみなぎらせた。

 在日韓国人の李は、自身のルーツと多くの人々の思いを背負ってリングに立つ。ガウンの左胸には、祖国統一を願って朝鮮半島のロゴを、背中には「ために」というハングルを入れた。トランクスも同様に赤で、韓国国旗が刺しゅうされている。横浜ジム入門時、故関光徳会長から「自分のルーツを大事に、堂々と自分の名前でやっていい」と言われた。韓国籍の李は「すごくうれしかった。世界戦は、自分にかかわりのある全てのことを力に戦わないといけない」と燃える。感謝と覚悟、周囲の思いを凝縮したガウンとなった。

 総額約15万円をかけて製作した応援会の金貴成会長は「こちらも気合が入ってます。頑張ってくれるでしょう」と期待した。当日は会員約1000人が、赤いTシャツを着込んで声援を送る。赤く染まった会場が、李の防衛を後押しする。【山下健二郎】