WBC世界スーパーフェザー級王者の粟生隆寛(28=帝拳)の5度目の防衛戦が来春、海外での指名試合になることが25日、分かった。帝拳ジムの本田明彦会長が明かしたもので同級1位セルヒオ・トンプソン(メキシコ)同級2位ディエゴ・マグダレノ(米国)との敵地での防衛戦が予定される。明日27日、東京国際フォーラムで同級4位ガマリエル・ディアス(31=メキシコ)と4度目の防衛戦を行うが、WBA王者の内山高志(32)との世界団体王座統一戦の前に試練の2連戦を勝ち抜かなければならない。

 粟生VS内山のビッグマッチへ、新たなハードルが設けられた。帝拳ジムの本田会長によると、粟生がディアスに勝って4度目の防衛に成功しても、すぐに内山戦とはならないという。WBCから指名試合を要請されており、来春の5度目の防衛戦は同級1位トンプソン、同級2位マグダレノ戦になる。明日4度目の防衛戦を行う粟生と、大みそかに6度目の防衛戦を行う内山。ともに試合をクリアすれば、次は日本人同士の世界団体統一戦との機運は高まっている。だが、世界団体側は王者同士をつぶし合う統一戦を歓迎していない。特にWBCはかたくなで、粟生にも強く指名試合のクリアを求めてきた。

 指名試合はトンプソンになればメキシコ、マグダレノになれば米国と、ともに敵地になる。厳しい条件だが本田会長は「それが1歩上のレベルへ上がることにつながるし、ファンにも認められる」と厳しい防衛ロードを歓迎した。

 内山とのビッグマッチ実現のため、明日27日のディアス戦、そして海外アウェーの指名試合と2つのハードルを越えなければならない。この日の調印式では、ディアスと23秒間もにらみ合った。長時間のにらみ合いはボクシング人生で初。「プロである以上、ファンが求めるようなはっきりした形で勝つ」。内山戦への最初のハードルはすっきりKOでクリアする。【田口潤】