<プロボクシング:WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ>◇3日◇タイ・コンムアスリ・ボクシングアリーナ
WBC世界スーパーフライ級王者佐藤洋太(29=協栄)が、同級8位の挑戦者シーサケット・ソールンビサイ(26=タイ)に8回1分23秒、TKOで敗れ、3度目の防衛に失敗した。リング上で40度を超す暑さと、挑戦者の圧力に体力を消耗し力尽きた。これでタイでの世界戦の日本人成績は、18戦17敗1分けと、佐藤も歴史を変えることはできなかった。今後については言葉を濁した。佐藤は26勝(12KO)3敗1分け、シーサケットは19勝(18KO)3敗1分けとなった。
佐藤は、8回1分過ぎ、コーナーに棒立ちになりパンチを浴び続けた。レフェリーに割って入られ、試合を止められた。2回に、動きがガクっと落ち、ほとんど挽回できないまま試合が終わった。万全の準備をして臨んだはずだったが、本番の舞台でアウェーの波にのみ込まれた。
両者入場は、午後3時32分。会場の扇風機がいつの間にか全て止まり、リング上の気温は40度を超えていた。湿度も80%超。大勢の人間であふれかえるリング上で、セレモニーが30分近くも続いた。そして佐藤陣営の最大の誤算が挑戦者の実力。大観衆の声援に後押しされ、前に前に圧力をかけられボディーを食らった。暑さとあいまって、スタミナが消耗してしまった。
「申し訳ない」。佐藤は関係者に頭を下げた。そして「悔しい。言い訳のしようがない。体が動かなかった。どこかにプレッシャーを感じていたのかも」とうなだれた。4回の採点で0-3と劣勢に立った。アウトボクシングの作戦は変更を余儀なくされた。コーナーにつまり、逆転のカウンター狙いも相手の圧力の方が上回った。新井史朗トレーナーは「こんなに早く疲れてしまう試合は初めて。タイ対策に気を取られ、肝心のシーサケットを甘く見ていた」と反省した。
1963年(昭38)の元世界フライ級王者ファイティング原田から50年続いた日本人の負の歴史に終止符を打つことができなかった。金平桂一郎会長は、過去の苦い経験から、綿密な準備をして決戦に臨んだ。ジムのOBでタイ在住の井上喜登氏の協力を得て、宿舎の手配からプロモーターとの交渉など、前日計量までは、ほとんど何の障害もなかった。「あんまり負けを考えなかったが、負けるとしたらああいう展開」と金平会長は悔しそうに言った。
試合後、佐藤は今後について「ゆっくり休みます。悔しいですけど、もう1回やりたいですけど、オプションもないし、こっちから何も言えない」と話した。世界王座を目指しての再起が望めなければ、29歳という年齢から引退も考えられる。マジカルボックスは、このまま終わりを迎えるのか。

