日本ライトフライ級1位井上尚弥(20=大橋)が、次の5戦目で世界挑戦の可能性が出てきた。21日に横浜市内のジムで練習を公開した。25日にWBA3位の日本王者田口良一(26)を倒せば世界ランク入りに、大橋秀行会長(48)は試合後には世界戦交渉に入ると明かした。第1の標的はWBA王者井岡一翔(24)で、井岡の日本最速を2試合上回るスピード奪取がかかることになる。井上も最速タイ4戦目の日本王座獲得より、世界ランク入りを一番の目標に掲げた。

 井上に日本最速新記録となる世界王座奪取の可能性が、現実味を帯びてきた。大橋会長が「試合が終わったら動きだす。5戦目は早すぎるかもしれないがタイミング次第。必然的にそうなるかもしれない」と今後について言及した。

 井上の実力の高さに、デビューからマッチメークに苦労した。1、2戦目は各国王者。3戦目で同級1位佐野が名乗りを上げてくれてランク入り。今回も王者田口が対戦を熱望した結果だった。王者となれば、国内の防衛戦も海外も、相手探しは一層難しくなる。そこで「タイミングと必然」として、世界への道が開ける可能性は十分ある。

 最速タイとなる4戦目での日本王座獲得で、同時に国内での世界挑戦ルールもクリアできる。さらに王者田口はWBA3位と、堂々の世界ランク入り。井上は「記録はたまたま。世界ランク3位が一番。世界にグッと近づくことが出来る」と、日本は通過点に捉える。

 一番の標的はWBA王者井岡で、9月11日にV2戦を控える。大橋会長は「井岡とは八重樫との統一戦もできた。可能性ある」と、練習後には井上に「見に行こう」と視察に誘った。交渉だけに流動的だが、田口はWBOでも11位とあって、他団体で挑戦する可能性も広がる。軽快な動きで仕上がりの良さを見せた井上は、世界でも数字にこだわらない。「次は早すぎる。自分を貫き通せ、自信が出来た時にやりたい」。

 まだ伸び盛りの怪物だけに、意思とは裏腹に実現するかもしれない。【河合香】

 ◆スピード世界王者

 センサク・ムアンスリン(タイ)の3戦目が世界最速。ムエタイ王者から転向し、75年にWBCスーパーライト級王座獲得。2位はウィラポン(タイ)の4戦目で、95年にWBAバンタム級王座獲得。ムエタイ3階級王者で、辰吉、西岡、長谷川らとも対戦した。