佐渡ケ嶽部屋に、異色の“中卒4人組”が入門した。しこ名に、伝統の「琴」を背負う15歳の新弟子4人は、春場所で初土俵を踏み、今場所序ノ口デビューを飾った。

先陣を切ったのは琴石田。初日に大阪出身の15歳が白星を挙げた。2日目に、静岡出身の琴芳野が不戦勝。高知出身の琴川渕が白星で続いた。最後は宮崎出身の琴平沼が臨んだが、22歳に敗れた。“4連勝”は逃したものの、「楽しかった」と口をそろえた。

58年11月から関取を輩出し続ける名門で、3人の幕内から伝統を学んでいる。大関琴桜は「新しい風が吹いた」と歓迎しつつ、「まだまだ。育てがいがある」と基礎から指導。稽古後は竹ぼうきの使い方を見かねて、土俵周りの砂を自らはいた。関脇琴勝峰はストレッチや股割りを実践し、平幕琴栄峰は、太り方を助言する。

新弟子減少が続く角界の希望の星だ。春場所は過去最少20人が角界入り。前年の34人から大きく減少した。夏場所では力士全体でも599人。過去最高の94年夏場所の943人から、3分の2程度まで減った。近年は大卒力士も増え、中卒の幕内は高安、隆の勝、平戸海らに限られる。

師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は15歳の決断に「うれしい。4人とも親孝行したい気持ちが強い」と喜ぶ。「誰が強くなるかなんて分からない。成長していってほしい」と期待を寄せる。

163センチの琴芳野、167センチの琴川渕には、十両に復帰して土俵を沸かせる167センチの炎鵬などを引き合いに「ああいう感じになってくれると、また相撲もおもしろくなる」と小兵ならではの活躍を期待した。

190センチの琴平沼は、191センチの自身の現役時代と重なった。「上手を取って振り回す相撲が、私の新弟子のときとそっくりだった。力がついたらおもしろいだろうなと感じた」と明かした。。171センチの琴石田は「うちの厳しい稽古を見て『かっこいい』と言っていた」と伸びしろを感じている。

そうそうたる力士が67年紡いだ歴史。4人のホープが、記録を伸ばすかもしれない。【飯岡大暉】

肥後ノ龍(手前)を肩すかしで破る琴芳野(2026年5月撮影)
肥後ノ龍(手前)を肩すかしで破る琴芳野(2026年5月撮影)
大相撲夏場所4日目 塵手水(ちりちょうず)を切る琴川渕(撮影・小沢裕)
大相撲夏場所4日目 塵手水(ちりちょうず)を切る琴川渕(撮影・小沢裕)
跳乃山(手前)に鋭い立ち合いで攻める琴平沼(2026年5月撮影)
跳乃山(手前)に鋭い立ち合いで攻める琴平沼(2026年5月撮影)