WBC世界バンタム級王者・山中慎介(31=帝拳)が、幻惑する左ボディーストレートで挑戦者の細い肉体を打ち抜く。同級8位アルベルト・ゲバラ(23=メキシコ)との5度目の防衛戦(10日、東京・両国国技館)を控え、7日に都内で予備検診に臨んだ。弁護士の卵でもあるゲバラの細いボディーラインを確認。左ボディーで、KO負けのないインテリ挑戦者を倒すイメージを膨らませた。

 挑戦者の検診を前後から見守った。担当医から聴診器を上半身に当てられたゲバラの後方に山中、前方に大和心トレーナーがいた。2人はアイコンタクトしながら、同じイメージを共有していた。先に大和トレーナーが「減量の影響もあるでしょうが、体が細いですよね」と分析。山中は「頭良さそうな顔をしてますね」と評した後に「ボディーが薄そうなので、狙ってみます」と続け、余裕の笑みを浮かべた。

 山中の代名詞でもある左強打は顔面を狙うストレートだけではない。敵の腹筋に正面から打ち込むボディーストレートにも磨きをかけてきた。今回招へいしたフィリピン人練習パートナーとのスパーリングでも、面白いように左の強打をボディーに打ち込んだ。相手の目を見ながら顔面を狙うように見せかけ、同じフォームでボディーストレートを打ち抜く技術が山中流。「ボディー狙いは作戦の1つにあります」。ゲバラと初対面で、攻略の自信を深めたようだ。

 減量もリミットまで残り1・5キロまで落ちた。絶食の必要もなく、おにぎりとスープも口にし、栄養も補給できた。8月のV4戦に比べ、胸囲が82センチから84センチにアップしたことを問われ「前回は少し下の位置で測っていた。今日は上の方で測ってもらいましたからね」とジョークを飛ばす余裕もあった。V5戦を直前に控え、心身ともに充実している。【藤中栄二】