ボクシングのWBC世界バンタム級王者・山中慎介(31=帝拳)が、具志堅用高の持つ日本記録に並ぶ、世界戦6連続KO勝利を狙う。10月22日、東京・代々木第2体育館で指名挑戦者の同級1位スリヤン・ソールンビサイ(25=タイ)と7度目の防衛戦を行うことが決定し、10日に都内で会見。元世界王者の実力者を相手にも、得意の左での豪快なKO決着を誓った。

 会見の冒頭、山中は表情を引き締めると独特の言い回しで決意を語った。「これという作戦はない。連続KOへの意識もまったくない。ただ、今回もKOします」。79年の具志堅の記録に王手をかけた一戦も、「記録を残しても評価されなければ意味がない。それよりも内容」。ぶれない思いが言葉からにじみ出た。

 すべての挑戦者をなぎ倒してきた「左」への揺るぎない自負がある。対戦するスリヤンは元WBCスーパーフライ級王者の強打者。映像で研究し、攻守の粘り強さと、自身と同じサウスポーを得意とする印象も持った。だが、「僕は普通の左とは違う」とぴしゃり。「相手が前に出てくれば序盤で終わる可能性もある。それぐらいのパンチは持っている」と力を込めた。

 5日のWBCフライ級タイトル戦に燃えるものもあった。同学年の八重樫東がローマン・ゴンサレスと壮絶な打ち合いの末に敗戦。「ポイントは離れていたが良い試合だった。ゴンサレスの圧倒的な強さに刺激も受けた。自分も負けない試合をする」と言い切った。

 世界王座を獲得した思い出の場所で、山中が改めてバンタム級世界最強を証明する。【奥山将志】