31歳の前頭5枚目豊ノ島(時津風)が一仕事やってのけた。日馬富士の突き押しに足が俵にかかった向正面。上体をのけ反らせながら、結び目あたりの右上手を無心でつかむ。足は右一本で残り左回転。あざ笑うかのように横綱を泳がし、送り出して4個目の金星獲得だ。

 「ダメだと思ったけどうまく(横綱の左腕を)手繰れた」と豊ノ島。初日1週間前から千秋楽まで文元明宏トレーナー(30)から毎日、マッサージを受ける。従来のケガ予防の軽めのものを、より股関節を使うため強めに変えた。涙が出るほどの痛みにも耐える。「節目の(幕内)60場所目で、節目の10回目の三賞も取りたいね」。7場所ぶりの返り三役も見えてきた。