疑わしきは物言いを-。西前頭3枚目の安美錦(37=伊勢ケ浜)が栃ノ心(28=春日野)に、つきひざで敗れた微妙な一番について、協会トップの八角理事長(52=元横綱北勝海)は「物言いはつけなければダメだ」と審判部に注文をつけた。

 勝負が決する場面で両者の体が遠く離れ、狭めた視界の中に入りづらいシーンではあった。そのことには「両者を同時には見づらくて、印象的に(転がった)安美錦ばかりを(土俵下の審判は)見ることになったのだろう。両者を同時に見える角度にいた人はいなかったから(どうしても)安美錦を見てしまう」と一定の理解は示した。その上で「物言いはつけなければダメ」と注文した。館内のファンのためにも、微妙な一番があった際には、確認のためだけであっても、物言い→協議→場内アナウンスによる館内説明があってもいいように思われる。

 一方、この一番を含め幕内後半戦の審判長を務めた審判部の友綱副部長(63=元関脇魁輝)は「こっち(正面)から見て安美錦の膝がカクッと(先に)落ちたみたいだったから」と物言いをつけなかった理由を説明。「他の審判も手を挙げる様子もなかった」と問題はなかったことも強調した。ただ、その後にスロービデオを見たビデオ室から「際どい一番だった」旨の連絡が入った。ただそれも「勝ち名乗りが挙がった後だったから」と話すなど、後味の悪さを残した。