唐揚げパワーで怪物復活だ! 東前頭7枚目の逸ノ城(23=湊)が、同12枚目の玉鷲を寄り切り、1敗を守った。伸び悩んでいた今春から、やかん形のケトルベルや大型タイヤを使って体幹を強化。今場所は、宿舎に近い定食屋の鶏もも肉唐揚げもパワーの源で、優勝争いのダークホースに浮上してきた。
211キロの体に、ようやく力強さが備わってきた。激しく突いてきた玉鷲の攻めを、逸ノ城が腰を落として受け止める。左上手を取ると、すかさず逆襲。出し投げで崩して、あっさり寄り切った。前日6日目に初黒星を喫した悪い流れを断ち切り「今日は絶対に勝ってやると思った」。気合を入れて、1敗を守った。
幕下15枚目格付け出しから所要5場所で関脇まで出世したのが2年前。体格は目立ったが、立ち合いの緩さ、もろさもあり、伸び悩んだ。転機は今春。懇意にする大阪の柔道整復師・宇山昌克氏の助言もあり、琴奨菊も実行しているやかん形のケトルベル・トレーニングを導入。さらに大型タイヤ3個=160キロを稽古場で地道に押し続けた。
「筋肉量が少なかったので、体幹を鍛えて軸がブレないようにした」と宇山氏。肝臓に負担をかけずスムーズに筋力アップを図るため、底なしで飲んでいた酒もやめた。「代わりはウーロン茶や水です。酒を飲んだら楽しいですけど、勝つことが大事。場所中に飲んだら、マイナスになるだけ」と、逸ノ城にもアスリートの自覚が芽生えてきた。
体を鍛えて、禁酒も続けるが、食事は「普通に食べてる」。今年の名古屋では、宿舎近くの定食屋で塩味の効いた鶏もも唐揚げを食べるのが楽しみ。この日も、朝稽古後に5人前(約1キロ)を差し入れてもらい「ウナギより、唐揚げ」と笑う。昨年末は太る一方の体に「200キロは人間の体重じゃない。牛とか…」と、ストレスになっていた。だが、宇山氏から「骨格の規格が他の人と違う。筋肉をつければ体重は230キロまで増えてもいい」と、増量許可が出ているのも心強い。
師匠の湊親方(元前頭湊富士)と宇山氏は「来年爆発してくれれば」と想定していた。だが、肉体改造の効果は早くも出てきた。「1日一番、集中して自分の相撲を取りたい」。1敗に6人が並ぶ優勝争い。スケールアップした怪物も、食らいつく。【木村有三】

