綱とりの大関稀勢の里(30=田子ノ浦)に、いきなり土がついた。

 東前頭筆頭の隠岐の海(31=八角)にもろ差しを許して前に出る。それが強引すぎた。腰が高く、上体が浮いて回り込まれると、深い下手も許した。万事休す。左足1本ではこらえ切れずに土俵を割った。

 過去16勝2敗とはいえ、不気味な相手ではあった。過去の2敗はいずれも秋場所。昨年も優勝争いのさなか、強引な攻めを突き落とされて逆転負けした。そして今年も…。支度部屋では終始、無言だった。

 ただ、初日に負けたとはいえ、白鵬不在の今場所。優勝争いの行方は混沌(こんとん)としている。初日に負けて横綱昇進を果たした力士も昭和以降6人いる。2日目の相手は、先場所敗れている小結栃煌山(29=春日野)。稀勢の里の底力が試される。