AKB48板野友美(22)が27日、東京・秋葉原のAKB48劇場で、卒業公演を行った。同じ初期メンバーの高橋みなみ(22)らも駆け付ける中、05年10月の加入から2820日に及んだグループでの活動に終止符を打った。今後は充電期間の後に、ソロ歌手として再出発する。

 メンバーきってのおませちゃんは、見た目に反して涙もろかった。「最後は今になって、やっと歌詞の意味が分かったこの曲です」と、バラード曲「ここにいたこと」を選んだ。「いつまでも忘れないで、ここにいたこと」。8年間の“学びや”を惜しむように歌った。「一番の思い出は、やっぱりこの劇場かな。レッスンやイベントをしたり。ここともお別れと思うと寂しい」。瞳が潤んだ。

 ツンデレ女子高生が、そのままアイドルになったようで、清純派グループ内では異端児だった。黒髪ルールを破り、最初に茶髪にした。秋元康総合プロデューサーと衝突しても、自分を貫いた。同期の高橋がいうように、誤解されやすかった。

 ただ、ブレない意志と、ソロデビューやCM女王という大きな夢を次々実現してきた姿は、仲間からも憧れの的だった。2度もAKB48選抜総選挙1位に輝いた大島優子(24)でさえ「東京ドームの卒業コンサート(25日)も、メンバー全員がリハーサルから食い入るように見てた。ともちんのカリスマ性は私の持っていないものだった」と脱帽するほどの存在感だった。

 最後に、自己表現の苦手な後輩たちにメッセージを残した。「悩んだら思い切って秋元康先生に相談。『私はこうなりたい!』と主張し続けること。怖がって面倒がって、そのまま終わらせてたら、いつか来るチャンスもモノにできないから」。

 最後は「卒業だけど、新たな1歩もここで踏み出します。い~っぽ」とおちゃめに言い残して、劇場を去った。オタク向けだったアキバ系AKB48を、縁遠かった女子中高生からも憧れられるグループに押し上げたのは、ほかでもない板野だった。「そう言っていただけるのが、私の励みでした」。最後の総選挙は11位。それでも、オンリーワンの自信を手にできた板野は、力強く独り立ちしていった。【瀬津真也】