<日刊スポーツ映画大賞:石原裕次郎賞(劔岳

 点の記)>◇28日◇ホテルニューオータニ

 第22回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が行われた。

 石原裕次郎賞に輝いた「劔岳

 点の記」の木村大作監督(70)が、前代未聞の“地声あいさつ”を披露した。マイクを使わず、客席に直接話しかけ、映画作りへの情熱を力説。裕次郎さんへの思いを語った。「ディア・ドクター」の西川美和監督(35)は作品賞と監督賞を受賞し、4冠を獲得。壇上で次作への意欲を示した。

 木村監督は受賞のあいさつを求められても、マイクに近づかなかった。DVD3枚を持ちながら、大声を響かせた。「皆さんから(表彰盾などを)いろいろ頂いたので、劔岳のDVDをまき子さんと渡さん、舘さんにあげたい」。壇上で裕次郎さんの妻まき子さんに手渡し、異例の“地声あいさつ”を始めた。

 裕次郎さんが生きていれば、この日が75歳の誕生日。5歳上の先輩映画人への熱い思いを吐露した。「日本映画界で同じ時代を歩んだ人です。五社協定で映画を自由に作れない時代に、果敢に映画作りに挑戦して『黒部の太陽』を作ったんです。『劔岳

 点の記』の映画作りにもそういう意味があります」。標高約3000メートルの劔岳(富山県)に実際に登り、計200日間の過酷な長期ロケを敢行。裕次郎さんの映画作りをダブらせた。

 地声にこだわるのは、理由があった。「2000人ぐらいの講演だったらマイクを使わない。生の自分が出る。地声で腹にあるものを全部出す。マイクを通すと『うまく言おう』と考えちゃう。今は何でも物に頼りすぎだ。映画の現場もそうだよ」。CGに頼らず、本物にこだわる姿勢は、壇上でも同じだった。

 まき子さんから賞金300万円を贈られ、「映画人冥利(みょうり)に尽きますね。ワンカット、ワンカットが素晴らしかった」とほめられた。「鶴瓶さんに300万円は何に使う?

 と聞かれましたが、僕はビタ一文使いません!(笑い)」。一緒に山に登った俳優やスタッフをねぎらうつもりだ。

 【柴田寛人】