老人役の女優50人が激しいアクションを披露する異色映画「デンデラ」(天願大介監督、6月25日公開予定)が、浅丘ルリ子(70)の主演で製作されることが7日、分かった。倍賞美津子(64)山本陽子(68)草笛光子(77)らベテラン女優も集結。70歳を超えた老人を山に捨てるという古代日本の「姥(うば)捨山伝説」を題材に、死んだと思われていた老婦人50人が奇妙な集落を築くという物語を展開する。山奥の厳しい生存環境と懸命に戦うというリアリティーを追求するため、高齢キャストが体力の限界に挑む過酷な撮影現場になりそうだ。

 浅丘は自身と同じ70歳の主人公カユ役だ。「姥捨山に捨てられた50人のおばあさんが、いろんな工夫をしてみんなで生きようとするという内容が面白い。このような題材で主役をやる機会はなかなかないので、やらせていただきました」。半世紀以上の女優活動で初めて“ノーメーク”で臨む。「すごい冒険ですけど、この年になったんだから、やってみようかなと。土焼けやあかぎれ、雪焼けをして、色が黒いという設定なので、顔を汚くするメークはします。とにかくひどい」と苦笑いしていた。

 姥捨山伝説を映画化した「楢山節考」(83年)の故今村昌平監督は、「デンデラ」の天願監督の父親にあたる。28年前にカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した名作が、奇想天外の発想を加えた“続編”として復活。天願監督は「あまり見たことがない映画を撮れそう。力強い作品になるはずです。無事に撮り終えたい」と話した。プロデューサーの1人は「閉塞(へいそく)感があふれる現代日本だからこそ、『懸命に生きる』というテーマが明確な原作を映画にしたかった」と企画意図を説明した。近くクランクインする撮影は、山形ロケを中心に2月末までを予定している。