諌山創氏の大ヒットコミックを実写映画化した2部作の前編「進撃の巨人 Attack on Titan」(8月1日日本公開)の世界初お披露目となるワールドプレミアが去る7月14日にハリウッドのエジプシャン劇場で行われ、主演の三浦春馬、ヒロインの水原希子、メガホンをとった樋口嗣監督が出席しました。レッドカーペットを歩いた3人は「進撃の巨人」を観ようと集まった600人のファンたちにサインや記念撮影攻めにあう人気で、上映後は鳴りやまない拍手とスタンディングオベーションを受けました。三浦と水原は英語での舞台挨拶にも挑戦し、上映後は「泣きそうになった」と映画の都ハリウッドで受けた歓迎と評価に感無量の表情を見せていました。

 「進撃の巨人」は、ここアメリカでもアニメの英語吹き替え版が、2014年にテレビ放送され、大きな反響を呼んだ話題作。アニメは評論家の評価も高く、「子供向けと思っていたら、すっかりとハマってしまい、全25話を一気に観てしまった」と言う記者の感想記事もネットニュースに掲載されるなど、オタク以外にも広く支持されている作品でもあります。そのため、実写版への期待も高く、プレミアには地元メディアやアジア圏からの取材陣も多数詰め掛け、その人気の高さが伺えました。もちろんオタクファンにも人気のある作品で、コスプレも大人気。立体起動装置や巨人、エルヴィンのコスプレなどに扮した人たちが、先日サンディエゴで開催されたアメリカ最大のポップカルチャーの祭典として知られるコミコン・インタナショナルでも目立っていたようです。プレミア会場にもコスプレしたファンが大勢集まり、主演の2人や樋口監督と記念撮影を楽しんでいました。

 謎の巨人たちと人類との壮絶な戦いを描いた同作は、CGと生身の人間が演じた巨人やミニチュアによる特撮などが駆使された映像表現が用いられていますが、これにはハリウッドの映画ファンも大喜び。上映中、巨人が登場すると“待ってました!”とばかりに大歓声があがり、驚きや笑い声が絶えない盛り上がりぶりで、「最高!」「素晴らしい」との声が次々とあがり、ゴジラVS巨人を観たいなどのコメントも寄せられるなど、アメリカのファンをすっかり虜にしたようです。

 一報で、ネットで公開された英語字幕入りの予告編を観た人たちの間では、原作とは異なるキャラクター設定に戸惑うコメントや、リヴァイが登場していないことを嘆くコメントなども数多くあり、原作ファンの間では新しい世界感を描いた劇場版に対する期待と複雑な思いが渦を巻いているようです。

 世界63カ国での公開が決まり、アメリカでも今秋に大規模公開が行われると言われているだけに、ハリウッドに「進撃の巨人」旋風が巻き起こる日もそう遠くはなさそうです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)