神田沙也加(30)のウワサの“神対応”は本物だった。

 俳優村田充(みつ=39)との結婚が発覚した翌27日に、沙也加の単独初主演ミュージカル「キューティ・ブロンド」大阪公演が幕開け。上演先だったメルパルクホール大阪の楽屋口で、ファン約100人を敷地内へ招き入れ、1人1人に対応した。

 初日は午後7時開演。カーテンコールでファンに祝福され、完全に幕が下りたのは同10時を回っていた。しばらくして楽屋口に姿を見せた沙也加は、大勢集まっていた取材陣との混乱を避け、ファンを楽屋口まで呼び、同11時過ぎまでファンとふれあった。

 宝塚歌劇をはじめ、演劇界の役者は、入り待ち、出待ちするファンにサインをしたり、丁寧な対応をすることが多い。ただ、楽屋口まで呼び入れたことで、集まっていた大勢の取材陣の一部、口さがないスタッフが「パフォーマンス?」とつぶやいた。そのとき、あるファンが聞こえるように「1789のときも丁寧やったし!」と怒気を含ませて言い返した。

 そう。沙也加は宝塚歌劇団の小池修一郎氏によるフレンチミュージカル「1789~バスティーユの恋人たち~」で、ヒロインのオランプを演じ、確かな歌唱力で、ミュージカル女優としての立場を確立した。

 あのときもそうだった。宝塚歌劇を担当する記者はファンによる出待ち風景は見慣れている。整然と並ぶファンに手を振り、代表ファンを通じて手紙を受け取ったりする。出世するスターは、ほぼ例外なく丁寧な応対。“神対応”に慣れっこの記者から見ても、沙也加はタカラジェンヌに匹敵する丁寧さだった。1人1人の目を見て、きちんとあいさつを繰り返していた。

 沙也加はかつて、芸能界を離れ、飲食店のアルバイトで生計を立てていたことがある。時給は900円だったという。1年半、そんな生活を続けた。

 偉大な母の松田聖子から独り立ちし、芸能界の「母」とも慕う大地真央のはからいで、SAYAKAから「神田沙也加」として再始動。「アナと雪の女王」のヒット、ミュージカル女優としての成功は、まさしく自分の力でつかんだものだった。

 傷を負い、痛みを経験した人間は人に優しくなれると言うが、沙也加もその1人だろうと思う。結婚発覚後、取材に応じた父の神田正輝(66)も「思いやりを持っている子」と表現していた。

 以前の取材で「人生のいろんな経験が今、よかったと思う」と話していた沙也加。恋愛に関しては立ち直りが遅いとも明かし「スピーディーに立ち直れない。何年も引きずることもある」と漏らしていた。

 温かい家庭へのあこがれも人一倍強いだけに、村田とどんな家族を築こうか、今は、温かい気持ちにあふれているに違いない。そんな幸せオーラと接したファンはみんな、笑顔で帰路に就く姿が印象的だった。 【村上久美子】