新設された1回目のコンペティション部門に出品された、北村匠海(28)の主演映画「しびれ」が、グランプリ、北村匠海(28)の最優秀男優賞、内山拓也監督(33)の最優秀監督賞の3冠に輝いた。

「しびれ」は今年2月のベルリン映画祭(ドイツ)パノラマ部門にも出品され、北村は劇中で優秀女優賞を受賞した宮沢りえ(53)と親子を演じた。北村は、台湾の俳優・モデルのリン・チーリン(51)からトロフィーを受け取ると、深々と頭を下げた。「本当に、ありがとうございます。まさか、と…」と、喜びと驚きが入り交じった思いを吐露した。「僕は8歳から子役として役者をやっておりました。オーディションも何百回、受けたか分からないくらい。映画業界と関わり続けたことが『しびれ』、内山監督、宮沢さんと出会わせてくれたと思う。映画、芝居を愛し続け、20年やってきました。続けてきた自分と向き合ってくださった方に感謝」と、感謝の言葉を繰り返した。

そして「今、教師役をやっているんですが」と現在、フジテレビ系で放送中の月9ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」(月曜午後9時)の話題を自ら切り出した。同作で教師役に初挑戦しているが「下の世代の役者と、たくさん出会っています。見ていると、この先の役者の未来は明るいと感じます」と期待を寄せた。

一方で、邦画の実写で初の興行収入200億円を突破した「国宝」と、同作に主演した吉沢亮(32)、出演の横浜流星(29)と、同世代の2人の俳優の名も、自ら挙げた。「同じ世代の吉沢亮、横浜流星が、一歩も二歩も先に出ていき、頑張らなきゃいけないと思っていた中、賞が自分を歩ませてくれると思う」と、第1回の最優秀男優賞を糧に前進していくと誓った。その上で「明日も撮影なんで、そろそろ帰らせていただきたく思います」と言い、俳優として次の撮影に早くも気持ちを向けていた。

「しびれ」は内山監督の自伝的撮影で、北村は青年期の大地を演じた。大地は、どこにも居場所がない孤独な少年期をくぐり抜け、自分のもとを離れた父への静かな怒り、女手一つで自分を育てた母亜樹に対し、憎しみと愛、相反する感情に揺れる。亜樹は水商売で日銭を稼ぎ、世間的には育児放棄と呼ばれるような生活を送るものの、細部に息子への確かな慈愛がにじむ。幼少期の大地が言葉を失うきっかけとなる暴君のような姿から一転、時が経ち、かつての威厳が消え、悲哀に満ちた余生を送る大地の父・大原を永瀬正敏(59)が演じる。

内山監督は、グランプリを受賞し3冠を達成すると「大変、光栄に思います。監督賞よりも、ずっしりと重みを感じています。作品賞をいただいたのは恐らく、人生で初めて」などと喜んだ。「人生を辞めるかも知れないところに映画に出会い、脚本を書いたのは23歳。それから10年…縁を感じています」などとスピーチした。

最優秀女優賞は「無明の橋」(坂本欣弘監督)の渡辺真起子(57)が受賞。渡辺は「喜びを言葉にするのが難しい。私の成果と言うより、作品の成果。大きな役を任せてくださった。心から感謝申し上げます」とスピーチ。審査員を務めた、プレゼンターのSUPER EIGHT丸山隆平(42)は「僕も俳優として、刺激を受けました」と感想を語った。特別審査員賞は「THE INVESTIGATOR」が受賞した。