米国の作家スティーブン・キング氏の20年の小説「The Life of Chuck」を実写化した。世界各国で大洪水、大津波、森林火災、火山の噴火など終末を思わせる大規模自然災害が発生。その中、街頭に「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」との広告が出現する。中央でほほ笑む中年男性が何者かを誰も知らない不思議な広告は、放送がダウンしたテレビにまで映し出される。

映画は、カリフォルニアで大地震が発生し、授業中の高校でインターネット接続ができなくなるシーンから始まる。教師が面談で紙資料を元に話を進める中、保護者から「昔はインターネットがなくても不自由なく生活できていたけれど今更、戻ることができる?」などの声が出た。街では大渋滞の中、車を捨てて歩いて帰宅する人も相次ぐ。

一連のシーンを見て、記者は東日本大震災発生当時を思い出した。天井が崩落した都内の九段会館には、帰宅困難者をかき分けて取材に向かったし、被災した東北はインターネット接続が困難で調べものや原稿の出稿が極めて困難だった。当時を経験した人はもちろん、その後に生まれ、知らない世代も日々、刻々と流れる情報を追うSNSが使えなくなったら? と想像するだけで映画から感じるものは少なくないだろう。

もっとも、映画は災害がメインテーマではない。謎の男性、通称チャックは何者なのかが物語が進む中で解き明かされていく。その過程にはダンスシーンからヒューマンドラマまで多様な要素が織り込まれており、1本で数本を楽しめた感覚になる、お得な1本だ。【村上幸将】

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