ハロプロのアイドルグループ、アンジュルムを昨年卒業した田村芽実さん(18)が、都内で行った初主演舞台「minako-太陽になった歌姫-」の開演に向けて語った言葉です。急性骨髄性白血病のため05年に38歳で亡くなった歌手本田美奈子.さんの半生を初めて舞台化。歌を愛した美奈子さんのパワーを全身にみなぎらせ、堂々たる初舞台を見せてくれました。

 ヘソ出しルックのアイドル時代、「ミス・サイゴン」のヒロイン役から開けたミュージカル時代、もっと歌を勉強したいと活路を広げたクラシック時代。美奈子さんの歌手人生は多岐にわたります。担当記者として圧倒的な歌声を聞いてきたので、正直おっかなびっくりで足を運びましたが、まだ荒削りとはいえ、田村さんのクオリティーもなかなかのものでした。この細い体のどこに? というパワフルさが似ているんですよね。美奈子さんが「ボス」と慕った事務所社長が「音域が広くて声がしっかりしていて、美奈子役を任せられる」と話していたのも納得です。

 アイドル時代の代表曲「1986年のマリリン」では、当時の美奈子さんのヘソ出し衣装を着てはつらつとした歌とダンス。「ミス・サイゴン」の名曲「命をあげよう」では、小さな息子のために無一文で国を脱出する母親の思いがきちんと伝わってきて、帝劇の美奈子さんがダブって見えました。クラシック時代によく歌った「アメイジング・グレイス」は、闘病中の病院で披露。お世話になった医師やスタッフに「私は歌手だから、お礼に歌を贈ります」。歌い方など、かなり練習したのだと思います。透き通った声がいかにも美奈子さんで、いろいろと泣けてきました。

 でも、一番美奈子さんらしかったのは、その明るさです。「笑顔」は美奈子さんの座右の銘でしたが、田村さんも底抜けです。美奈子さんの衣装に「今のアイドルとは比べものにならないほど露出が高い!」とキュートな八重歯でけらけら。周囲から「露出露出って…」と突っ込まれると「健康的な露出です! ヘンなのじゃないですよぉ」とまた笑って隣の人をパチン。昔、馬券が当たらなかった美奈子さんが、「ボス」のお尻を「くやしい。えいっ」とキックし、けらけら笑ってめちゃくちゃ怒られていたのを思い出しました。

 5日間8公演のステージは全席完売で終了。女優として本格始動した田村さんは「私も本田美奈子さんのように強く生きたい」と話しました。今もこうして、若い人に刺激を与え続けている本田美奈子さんが感慨深いです。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)