三上博史(52)主演、映画監督の行定勲氏(46)演出で清水邦夫氏の名作「タンゴ・冬の終わりに」(9月、東京・渋谷パルコ劇場)が上演されることが5日、分かった。ユースケ・サンタマリア(43)倉科カナ(27)が共演する。「タンゴ-」は、84年に蜷川幸雄氏演出、平幹二朗の主演でパルコ劇場で初演されており、パルコでは31年ぶりの上演となる。

 「タンゴ-」の主人公は、引退し、日本海の町にある古びた映画館に妻と隠せいする元有名舞台俳優の清村盛。恋愛関係にあった女優水尾が訪れるが、清村は現実と虚構の区別を失い、狂気に陥っていた。海外でも、91年にロンドンで英俳優アラン・リックマン主演によって上演され、話題を呼んだ。

 清村役の三上は、初演を見ており、「駆け出しの役者だった僕は『いつかこの役をやりたい』と強く思ったのを覚えています」と話す。パルコ劇場にも思い入れがあり、「1度ならずも『辞めてしまおう』と思ったところを救ってくれたのも、(03年に主演した)パルコ劇場での『青ひげ公の城』がきっかけでした。そんな思いを、かなりダブるところのあるこの役で、この劇場で、演じることになりました。思い切り、やらせていただきます」と並々ならぬ意欲で挑む。

 水尾役の倉科は「出来る限りを出し尽くしたい」と言い、水尾の夫役のユースケも「今年の夏と秋をこの舞台にささげます」。清水作品初演出の行定氏は「清水さんのつくりだす『取り残された世界』に憧れていた。演劇に没頭したい」と話している。共演は神野三鈴、岡田義徳ら。