ビートたけし(68)が、自身の監督作品以外では04年「血と骨」以来12年ぶりに主演する映画「女が眠る時」(ウェイン・ワン監督、来年公開)が12日までに、都内でクランクアップした。忽那汐里(22)演じる女性の産毛をそり、寝姿を撮影し続ける初老の「変質者」(たけし)を演じる。
たけしは、このほど都内で行われた会見に登壇するなり左目で会場を一にらみした。その緊張感が、冒頭のあいさつで吹っ飛んだ。
「渡辺謙です。トニー賞もらえなくて殴ってやろうかと思いました」
時事ネタを絡めた“たけし節”がさく裂した直後、神妙な面持ちで語った。
「自分のキャリアの中では久々に緊張して、手探りで臨んだ現場が続いた」
オファーの段階で「いいですよ。あの監督好きですから」と即決した。自身が97年に「HANA-BI」でベネチア映画祭金獅子賞を取った2年前、「スモーク」でベルリン映画祭銀熊賞を取ったワン監督の作品を「ひと言で表すような作品ではない。参加できることがうれしい」と評した。
役について語る時は、再び“たけし節”が戻った。
「西島君が主役と聞いて台本をもらったら、自分の名前が最初。おかしいんじゃないか? と。西島君が絡みがいっぱいあって。私は何もなく…情けない変質者の役。まぬけな話です」
現場では役者として苦悩した。「体、顔や表情に出さず、煮えくり返った自分を見せてくれ」と求められ「訳の分からないことを言われて悩んだこともありましたが、さすが芸術家だと思う」と振り返った。
一方で監督の顔も見せた。ワン監督は台本やシーンの変更など、流動的な映画作りで知られ、今回も撮影中に俳優陣と話し合った。たけしは「ところで僕のベッドシーンはないんでしょうか?」と冗談を言いつつアイデアを出し、台本にないシーンが幾つも付け加えられたという。ワン監督は「もう1人の監督というべき存在。いろいろ提案してくれた」。西島秀俊(44)も「北野さんは僕の目線の先で、絶対に手を抜かないで演技していただき、映画に対して全力で誠実に向かわれる方」と絶賛した。
約1カ月の撮影を終えて「役者としても監督としても良い勉強になった」と語った。ビートたけしであり北野武でもいられた、新境地の現場だったことを示唆した。【村上幸将】
◆「女が眠る時」 スランプに陥った作家清水健二(西島)は妻綾(小山田サユリ)と休暇で訪れたリゾートホテルで、異様な初老の男佐原(たけし)と親子ほど年の離れた美樹(忽那)のカップルに関心を持つ。部屋をのぞくと、佐原が美樹の体の産毛をそり、毎晩、寝姿を撮影。「あの子の最後の日を記録しようと思って」という佐原の言葉に恐怖と好奇心をかき立てられ、部屋に忍び込むなどのストーカー行為に走る。リリー・フランキー、新井浩文、渡辺真起子も出演。



