アイドルグループ「仮面女子」の東大出身アイドル桜雪(23)が、ファンだった男から殺人予告を受けていたことが25日、分かった。事務所関係者によると、男は兵庫県の23歳。今春からツイッターで嫌がらせの書き込みを連続投稿しており、21日には「コロスゾ」と投稿があった。事務所側が警戒していたところ、男が23日、ライブ会場に現れ、対応したスタッフを負傷させたという。事務所は、男を警視庁万世橋署に引き渡し、傷害容疑で被害届を提出。署が捜査している。

 ファンだったはずの男が、桜雪に牙をむいた。男は桜の公式ツイッターに「うっせえぞカス」「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い…」などのほか、下品なつぶやきをしつこく投稿していた。

 今夏にライブ会場を訪れた男に対し、事務所は口頭で注意したが、投稿は次第にエスカレート。21日には、「コロスゾボケ」との書き込みがあった。これを受け、事務所は男のライブへの出入り禁止を決定。ライブ会場などの警戒を強めていたという。

 「コロスゾ」との書き込みの2日後の23日昼、都内で行われたライブ会場に、男が現れたのを警戒していたスタッフが発見。桜らメンバーが登場する前に、別室に通し、出入り禁止の趣旨を説明したという。

 事務所関係者は男に対し、ライブ会場や桜やメンバーに近づかないことを約束する文書にサインを求めたが、男は突然暴れ出し、制止しようとしたスタッフに暴行。スタッフが首にけがを負ったため、最寄りの警視庁万世橋署に男を引き渡し、傷害容疑で被害届を提出したという。

 桜は日刊スポーツの取材に「ファンの方が、ある日突然、豹変(ひょうへん)したように私に乱暴な言葉をかけるようになりました。日に日にしつこく乱暴なコメントをツイッターで送ってくるようになり、ついに『殺すぞ』と言われた時は本当に怖くなりマネジャー、警察の方に相談しました」と説明。事件について「今も、『どうして?』という悲しい思いでいます。暴行されたマネジャー、メンバー、ファンの皆様に心配をかけて申し訳ないと思っています」としている。

 事務所関係者によると、男からの執拗(しつよう)な嫌がらせの書き込みなどについても、脅迫やストーカー被害として、署に相談しているという。

 桜は今年3月に東大を卒業。アイドルとして活動しながら、先月には小池百合子都知事の「希望の塾」に合格し、政治についても学んでいる。

 ◆桜雪(さくら・ゆき)1992年(平4)12月12日、三重県生まれ。東京学芸大付属高3年だった10年7月にアリスプロジェクト入り。11年に東大受験に失敗、浪人しながらアイドル活動。12年に東大文科3類合格。アイドルユニット「スチームガールズ」加入。13年3月に地下アイドル「仮面女子」に加入。14年4月に「アリス十番」加入。16年3月に東大文学部行動文化学科心理学専修課程を卒業。16年10月に小池百合子都知事の政治塾「希望の塾」に合格した。

 ◆最近のタレントやアイドルが標的となった主な事件 今年5月、東京都小金井市のライブ会場で音楽活動をしていた私立大3年の女性(20)の首や胸をファンだった男(27=殺人未遂などの罪で起訴)が複数回刺した。女性は一時意識不明の重体となった。男はSNSで女性に対し「死ねよ死ねよ死ねよ」と繰り返し書き込み、女性は警視庁に相談していた。

 14年5月には岩手県内で行われたアイドルグループの握手会で、無職男がノコギリでアイドル2人に襲いかかり、重傷を負わせた。男は傷害罪などに問われ、懲役6年の実刑判決を受けた。14年2月には、アイドルのブログに殺害予告を書き込んだとして、ファンだった会社員の男を警視庁が脅迫容疑で逮捕していた。