米音楽界最高の栄誉とされる第53回グラミー賞が13日(日本時間14日)、ロサンゼルスで発表され、日本の人気ロックバンド、B’zのギタリスト松本孝弘(49)が最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞した。

 グラミー賞の日本人受賞者は、これまで音楽家の坂本龍一やシンセサイザー奏者の喜多郎らがいるが、ポップス部門での受賞は快挙。

 松本の受賞作「テーク・ユア・ピック」は、ジャズフュージョン界の名ギタリスト、ラリー・カールトンとの共作。松本は「グラミー賞は大きな目標だった」と喜んだ。

 またクラシックのピアニスト内田光子さん(62)が、クリーブランド管弦楽団とモーツァルト作品を収録したアルバムで、最優秀インストゥルメンタル・ソリスト演奏賞に輝いた。ジャズピアニスト上原ひろみさん(31)がメンバーのスタンリー・クラーク・バンドは、最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞を受賞した。

 最優秀ニューエージアルバム賞を、琴奏者の松山夕貴子さんらが参加したポール・ウィンター・コンソートの作品が受賞。2001年に同賞を受けた喜多郎は、今回は受賞を逃した。

 主要部門では、最優秀楽曲賞は男女3人組バンドのレディ・アンテベラム、最優秀新人賞は女性歌手エスペランサに決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「日本人ギタリストとして、この場に立てて光栄です」。松本は授賞式ステージで喜びを語った。

 松本は深く息を吐き、緊張した表情で登壇。受賞アルバムを共作した米ギタリストのラリー・カールトンは、受賞スピーチをする間も松本の肩を抱き、「タクさん」とニックネームで呼ぶなど打ち解け合った様子だった。

 松本は会場に向かって「ハーイ」と呼び掛け、英語で日本から来たギタリストだと自己紹介。最後は日本語で「どうもありがとうございました」と締め、ステージを後にした。

 授賞式会場近くのWOWOW特設スタジオで取材に応じた松本は「まだ(受賞を)実感する余裕がない。発表された瞬間は何が起きたのかよく分からなかった」と興奮冷めやらぬ口ぶり。今後の目標を問われると、「それは秘密にしておきましょう」と笑顔を見せた。

 松本孝弘の話

 これまで絶対に人には言わなかったけど、グラミー賞は僕のひとつの夢、大きな目標でした。ラリー・カールトンとはお互い自由にプレーして、とても波長が合い、ギターのハーモニーの気持ちよさを再認識した。稲葉(浩志)さんにはまだ受賞したことを連絡していないけど、喜んでくれると思う。

 内田光子の話

 クリーブランド管弦楽団とのモーツァルトシリーズ最初の録音なので、このたびの受賞を大変うれしく思っております。彼らとは長く一緒に仕事をしてきたので、この受賞は私にとって特別な喜びです。

 上原ひろみの話

 バンドがグラミー賞を頂き、一員としてとても光栄です。スタンリー・クラークという素晴らしいベーシストと一緒にアルバムを作り、ツアーができたことが、何よりの喜びでした。これからも、目の前にあるライブに全集中力を注ぎ、日々頑張ります。

 松山夕貴子の話

 全てはチャンスをくれたポール・ウィンター氏のおかげ。これをきっかけに、日本の琴という楽器のことを世界の人にもっと知ってもらえたら、とてもうれしい。