歌手近藤真彦(45)が10日、21年ぶりの全国ツアーを岐阜・多治見市文化会館でスタートさせた。「同窓会みたいなもの」という原点回帰ツアー。「30周年記念コンサートをやった日本武道館のエネルギーよりもすごい。この距離感はいいね」と語り、昔と変わらぬ会場の熱気に酔いしれた。終了後は30周年記念ツアー開幕とこれまでの感謝の気持ちを込めて、芸能生活初のサイン会も行った。

 開演直前。会場から「せ~の~、ま~さひこ~」という声援が何度も飛んだ。CDデビュー30周年記念ツアー初日を迎えた多治見市文化会館で公演を行うのは28年ぶり。時を経ても、ファンはアイドル時代の声援で迎えた。マッチは「久しぶり!

 すごいね、この距離感は。話したいことがいっぱいあるんだけど」と懐かしさをにじませた。

 同所の収容人数は1500人。ツアー第1弾の全15会場の収容人数もすべて1500人前後。今回のツアーは、あえて80年代のアイドル時代以来の再訪となる会場ばかりを選んだ。近年は日本武道館やアリーナ会場が多かったが「市民会館とか、この広さは原点。後楽園球場でもそれなりの思い出があるけど、この広さは当時ガムシャラにやっていた思い出があるよね」と感慨深げに話した。

 80年代は持ち歌の曲数がまだ少なかった。今回のツアーでは、当時盛り込んだシングルのB面を会場ごとに日替わりで披露していく。「当時からのファンの気持ちを考えたらね」とこれまでの感謝を込めた。

 89年以来の全国ツアー。懐かしさから、地方公演で起きた思い出話にも次々と花を咲かせた。

 近藤

 昔は地方だと、紙テープと一緒にいろんなものが飛んできたんだよね。米とか名産品…。仙台だと笹(ささ)かまぼこ。パンツも飛んできたよ。ステージにファンの子が上がってきて、何度も抱きつかれた。今思えば、セキュリティーはどうなってるのって(笑い)。それで一時中断したこともかなりあったね。

 舞台終了後の握手会をすっぽかして帰ってしまうなど、やんちゃぶりを発揮していたアイドル時代。久々のツアーに備えてこの3カ月は禁酒も断行した。一方で、この日は公演後に会場で最新シングル「ざんばら」を購入した600人に、サプライズで芸能生活初のサイン会を実施した。「ノリでやっちゃいました。気持ちだよ。30年応援してくれた人がいると思ったら、朝飯前でございます。ただし、お約束になっちゃうとオレはやらないよ。らしいと思っていただければ」。

 少年の心はそのままに、ファンに感謝の気持ちをささげる大人の男になって再び全国を回る。【近藤由美子】

 [2010年4月11日9時39分

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