【ロサンゼルス24日(日本時間25日)=千歳香奈子通信員】米人気テレビドラマ「刑事コロンボ」で知られる、米俳優ピーター・フォークさんが23日、ロサンゼルス近郊ビバリーヒルズの自宅で亡くなった。83歳だった。家族の弁護士が24日に発表した。死因は明らかにされていないが、08年からアルツハイマー症候群で闘病生活を送っていた。コミカルなキャラクターと裏腹の鋭い推理で、犯人を追い詰めるコロンボを03年まで演じ、エミー賞を4度受賞した名優だった。
よれよれのレインコートと安葉巻を手に、鋭い推理で世界中のお茶の間をとりこにしてきたフォークさんが、静かにこの世を去った。フォークさんは08年に患ったアルツハイマー症候群が進行し、自身がコロンボを演じたことも忘れてしまっていたという。それを受け、前妻アリスさんとの養女のキャサリンさんは、同年末に財産管理保護人の必要を裁判所に申し立てていた。
この保護人の座をめぐりキャサリンさんと、77年の「刑事コロンボ
美食の報酬」でフォークさんと共演後に再婚した女優シーラ・ダネーズが争った。最終的にはダネーズが後見人となり、キャサリンさんは自宅で闘病生活を送るフォークさんを、2カ月に1度しか訪問できなくなった。09年ごろには自ら身の回りの世話が出来ないほど弱っていたフォークさんにとって、家族の争いは本意ではなかっただろう。
フォークさんは1927年にニューヨークで生まれた。3歳の時に悪性腫瘍が発覚し、右の眼球を摘出する手術を受け、ガラスの義眼を入れた。犯人を斜め上目遣いにじっと見詰める、刑事コロンボ独特の視線の演技は、実際に視力を失ったことで生まれたとも言われている。45年に高校を卒業したが、義眼のために陸軍に入隊できず、商船のコックとなり欧州やアフリカを回るなど異色のキャリアを歩んだ。
58年に「ジャングル・ガードマン」で映画デビューを果たし、60年の「殺人会社」、61年の「ポケット一杯の幸福」でアカデミー賞助演男優賞に連続ノミネートされた。それでもコロンビア映画のハリー・コーン社長から「同じギャラを払うなら、ちゃんと2つ目がある役者を使うよ」と言われ、オーディションで落とされたこともあった。差別と困難を乗り越えたフォークさんだからこそ、小汚い身なりながらウイットの利いたセリフで、犯罪を犯したセレブを追い詰める刑事コロンボを演じられたのかも知れない。
◆ピーター・フォーク
1927年9月16日、米ニューヨーク生まれ。両親は東欧からの移民。高校卒業後、商船のコックを2年務めた後、進学したシラキュース大で演劇部に入り役者に目覚める。1度は公務員となるが、週1回演劇学校に通い、55年に舞台デビュー。「刑事コロンボ」のほか、映画では63年の「おかしな、おかしな、おかしな世界」、66年の「泥棒がいっぱい」、87年の「ベルリン・天使の詩」などに出演した。




