「女のみち」などのヒット曲で知られる「ぴんからトリオ」のメンバーで歌手の宮史郎(みや・しろう)さん(本名・宮崎芳郎=みやざき・よしろう)が19日午後1時5分、多臓器不全のため都内の病院で死去した。69歳。兵庫県出身。葬儀・告別式は近親者で行う。関係者によると10月17日ごろから体調を崩し、風邪に似たような高熱とだるさを訴え、今月3日から都内の病院に入院していた。

 音楽関係者によると、宮さんは、10月17日に高熱とだるさを訴え始めたという。それでも同日と翌18日には、東京・新宿区の敬老会に足を運び、ファンの前で歌っていた。その後も体調は回復せず、今月3日に入院したという。

 入院後、しばらくは意識もはっきりし、家族らと会話も交わしていたが、この日になって容体が悪化。妻と娘にみとられて天国に旅立ったという。同関係者は「前日までは普通に会話もしていたようです」と説明した。

 宮さんは、10月10日に東京・五反田ゆうぽうとで開催された日本歌手協会創立50周年記念「歌謡フェスティバル~いつもそこには歌があった~」の夜の部にも出演していた。取材陣も見守る中、トップバッターとして登場した宮さんは歌い終えると、歩く姿を観客に見られないようにバックダンサーに囲まれる形でステージから退場した。当時からすでに体調に異変があった可能性もある。

 宮さんは63年に実兄の五郎さん、並木ひろしさんと、ぴんからトリオを結成し、72年に発表した「女のみち」が420万枚の売り上げを記録する大ヒットとなり、翌年には紅白歌合戦に初出場。同年には並木さんが脱退し、ぴんから兄弟となり、83年からはソロとして活動していた。09年には芸能生活50周年記念曲「女のみち

 パート2」を発売。軽妙な歌唱と口ひげを生やした親しみやすい風貌で人気を集めた。

 通夜と葬儀は近親者で営まれるが、後日、お別れ会を行う予定という。

 ◆宮史郎(みや・しろう)1943年(昭18)1月17日、兵庫県生まれ。59年に自主制作で「男の花道」を発売。61年に4人組コミックバンドのスパローボーイズを結成。63年に兄宮五郎、並木ひろしとぴんからトリオを結成。72年に「女のみち」でデビュー。73年に並木が脱退し、ぴんから兄弟に。83年に解散し、ソロで活動。10年にはソフトバンクモバイルのCMで浜崎あゆみと共演。